『従軍慰安婦』のはなし:十代のあなたへのメッセージ
(明石書店西野留美子1300円)


 小学六年生の少女が、『従軍慰安婦』の写真を見て、「この写真の女の子もきっと私と
同じくらいの年齢だと思うの。『従軍慰安婦』は、私と同じくらいの年齢の子どもたちの
ことだと知ったとき、だまっていられなくなったの。」というところから始まります。
 その女の子が学級新聞を作ったりします。

 筆者の十代のあなたへのメッセージです。

 筆者が韓国を訪れ、『従軍慰安婦』だった方たちとのお話しを載せています。
 南京事件の時、日本軍による中国人への強姦事件が多発し、外国からの批判を浴び、
それを解決するために『従軍慰安婦』が軍部から考案されたこと。
 「婦女売買禁止に関する国際条約」という国際条約を日本は批准していたため、
警察は日本から海外に売春ために渡航する女性にたいしては21歳以上でかつ職業が
売春婦の女性である者以外は渡航証明書を発行してはならないとはっきり指示しています。
 ところが、この条約には植民地を除外することができるという規定がありました。
そこで日本はこの条約は、朝鮮、台湾、関東租借地その他には適用しないと宣言しました。
それにより朝鮮、台湾からは未成年の女性での、売春婦ではない女性でも連れ出すことが
できると考えたえわけです。

 巻末には、『従軍慰安婦』の資料を防衛庁図書館から掘り起こした
吉見義明氏との討論を収録しています。