「ようこそボクらの学校へ」(NHK出版)4000円+税(2003年11月)
 DVD版とVHS版があります。

 アフガニスタン、シエラレオネ、アルゼンチン、エストニア、ザンビア、
チェチェン、イラクの七カ国、計8人の子供達がインタビューに答えています。

 DVD 版では、「話してみよう!」というコーナーがあり、主人公への質問を
選択し、主人公がそれに答えるというインタラクティブ機能があります。


 <チェチェン編>

 映像では、列車内で生活するマリア・ラムザノヴァ(10歳)が登場します。
場所は、チェチェンと隣国イングーシ国境地帯の難民キャンプ。
マリアは、
「いつになったら戦争が終わるのでしょう。私達にはどうすることもできません」
と語る。
 テント生活の人達は、一つのテントに4、5家族が同居。
冬は気温がマイナス20度、外は、雪やひょうが降っていて、隙間風がひどく、
湿気もひどく、テント内では一日中ペチカが絶やせません。
 
キャンプには学校もあります。テントで授業を行っていました。
科目はロシア語と算数。
同じ難民の教師がボランティアで授業を行っていました。
授業は午前9時から11時頃まで。
ずっと座っていると寒いので、途中で踊ったり体操したりしていました。
マリアは学校が遠いし、一人で行くのは危ないということで、なかなか行かせて
もらえないといいます。

 チェチェン編で、著者の後藤健二氏は、
「94年春、チェチェン市民の口から聞かれたのは、ロシア軍への強い非難の
 声でした」
「99年、23万人以上の人々が隣国イングーシ共和国に非難を強いられていたので、
 さぞかし激しいロシアへの批判が聞かれるだろうと思いきや、そうではありま
 せんでした。人々はロシア軍だけでなく、チェチェン武装勢力側も批判して
 いました」
「長引く戦闘、くりかえされる破壊と難民生活のなかで、人々は疲れ果て、
 とにかく戦いをやめてほしいという気持ちでいっぱいだったのです」
「一般市民にとっては、どちらが掲げる戦いの理由にも正当性を見いだすことは
 できません。市民不在の戦争なのです」
 と、述べています。

「ようこそボクらの学校へ」(NHK出版)DVD+BOOK