「クロムウェル」(1970年イギリス)

 NHK・BSで「クロムウェル」という映画をやっていた
ので、観てみました。
 斬首されるチャールズ1世役は、アレック・ギネスでした。
STAR WARS の時よりも少し若かったですね。
 映画を観た後、「イギリス史」(山川出版)の当該箇所を
読んでみました。
 清教徒革命(ピューリタン革命)は、中学の教科書では市民
革命として、教えられるんですが、まあ確かに市民革命では
あるんですが、フランス革命のような典型的なブルジョア革命
とは言えないモメントもありますね。
 つまり、国王側=封建勢力 対 議会側=ブルジョアジー
とは、そう単純にはきれいに分かれてはいないということです。
 ジェントリー階層=地主階層のうち、産業ブルジョアジーを
も兼ねていた層は、比較的多く議会側に加担し、議会側とは
いっても貴族も多く参加していました。
 つまり、基本的には、封建勢力対ブルジョアジーなんですが、
同じ階級間での利害対立で、ブルジョアジーや貴族も双方に参加
していました。あと、地縁・血縁でのしがらみも大きかった
ようです。
 最も驚いたことは、クロムウェルはむしろ中間派で、つまり、
<封建勢力><ブルジョアジー><より低い階層:都市労働者や
商工業者やその子弟、都市浮浪者>という基本的には、3つの
階級間対立が基本的は対立モメントとなっています。
 クロムウェルの議会軍の中には、何と200を越えるセクト
が存在していました。クロムウェルは言わば、それとの同盟
関係にあったというべきのようです。
 特に、レヴェラーズなどは、ほぼ男性普通選挙を要求して
いました。クロムウェルはこれを激しく弾圧します。
 他には、Diggers と呼ばれる、開墾した土地を共有しようと
いう素朴な社会主義・共産主義のグループなど、何と200以上
のセクトの合同軍だった訳ですね。
 例えば、日本の室町期の激動期特有の混乱と混乱ゆえのさま
ざまなものが表に出てこようとする、そういう歴史のダイナミ
ズムを感じます。
 17世紀に於いて、早くもブルジョアジー=資本主義を超え
出るものが顔を現し始めたことも、一つの歴史的事実ですね。

 あと、クロムウェルは、アイルランドを壊滅的に侵略し、
部下にその土地を与えるなど、アイルランド人民にとって歴史
上最悪の残虐行為をはたらきました。
 明治維新後の日本が朝鮮などを侵略していくことを彷彿と
させますね。