1.スンニ派地元武装勢力とアルカイダ系を区別すること
・「スンニ派ゲリラ勢力」は「2万人程度」
・「外国人ジハード戦士」は「数百人程度」
(「イラクで平和を勝ち取るには」アンドリュー・F・クレピネビッチJr.)
(戦略・予算評価センター所長)FOREIN AFFAIRS(論座11月号)
2.スンニ派地元武装勢力とアルカイダ系との戦闘戦術の相違を区別すること
・スンニ派地元武装勢力:ヒット・アンド・ラン戦術
・アルカイダ系:市街地占拠・立てこもり戦術
更には無差別テロ
世界最高水準の装備を持つ十数万もの米軍が駐留しており、
その米軍と真正面から部隊対部隊で戦闘することは、自殺行為である。
従って、ヒット・アンド・ラン戦術を採るのは、他に方法がないからとも思える
住宅地に立てこもって、一般住民を盾にとって戦えば、
米軍による反撃、誤爆等により、一般市民への被害が生じる。
一般住民の支持に支えられたレジスタンスという質を持つのなら、
そういう一般住民への被害が生じる戦術は採らない筈だ。
事実、レジスタンス十組織の統一司令部は、
そういう一般住民を巻き込む戦術を採らないだけでなく、
そういう戦術を採るアルカイダ系に市民への被害が生じるから
そういう戦術を止めるように説得してきた。
路肩爆弾による攻撃も、事前に周辺住民には警告をしている。
路肩爆弾という攻撃形態に対して、周辺住民は、積極的か消極的かは
分からないが、少なくとも、通報をしているとは、ほぼ全く聞いたことがない。
道路脇を掘り、爆弾を埋めるという作業を周辺住民が知らない訳がない。
「イラクは都市を一歩出ると、部族が勢力を張る社会だ。旧政権系であれ、
アルカイダ系であれ、よそ者が勝手に爆発物を爆破させたり、銃撃や
ロケット弾をつかって米軍への攻撃をしたりできるような場所ではない」
「道路に深さ1メートルほどの穴を掘って、爆発物を埋め、米軍車輌が通る時に
遠隔操作で爆発させるような手間のかかる作戦が、地域住民の協力を得ること
なしに実行できるとでもいうのだろうか」
(「イラク零年」川上泰徳(朝日新聞社))
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/iraq/2005/09/post_5d9f.html
しかし、アルカイダ系は住民を盾にとって戦うという戦術を採り続け、
カイムからラマディへと、米軍を引き連れ、市民への被害を生じさせた。
アラブ・スンナの街が次から次へと破壊され、
数十万人単位で難民が生み出された。
私は、アルカイダ系は目的意識的に一般市民への被害を生み出そうとしていると
考えている。
一般市民を盾にして戦い、米軍の攻撃により、一般市民に被害が出る。
それを全世界のムスリムに見せ付けて、米軍への反感を煽り立てる。
目的意識的にそう仕向けていると思う。
その一般市民への被害の映像をロンドンやパキスタンなどの全世界の
ある種の宗教関連施設でこれでもかと見せつけ、ジハード戦士を再生産し、
あるいは、全世界の各種のムスリム諸組織や諸個人から資金をせしめる。
アルカイダ組織を再生産する手段として、一般市民の命を利用しているのだ。
まさに『悪魔の思想』とは、こういうものをいうのであろう。
もちろん米軍にも半分責任がある。
いわばアルカイダの挑発にのり、アルカイダの思惑通りに踊らされていると思う
アルカイダに直対応するのではなく、
アルカイダ系の正真正銘の無差別テロリストは、
1.犯罪者として
2.地元の治安機関に
3.逮捕・拘束させる
これが、筋だと思う。
アラブ・スンナ地域では、地元のアラブ・スンナ勢力に
そうしてもらえばよいではないか。
既に、地元武装勢力側がそういう動きを現実的に行っている。
地元武装勢力がアルカイダ系を拘束し、引き渡している。
12月15日の選挙では、ラマディの投票所をアルカイダ系の攻撃から
武装警備したのは、地元部族の武装勢力だ。
アルカイダ系の正真正銘の無差別テロリストとは、戦わねばならない。
しかし、問題はその戦い方だ。
直対応して、一般市民への被害を拡大すれば、する程、
アルカイダ系を再生産させ、延命させてしまう。
アルカイダ系へのシンパシーを生み出す背景を米軍は自ら作り出しているのだ。
まずは、イラク戦争を終結させねばならない。
イラクのレジスタンス十組織の統一司令部は停戦を申し出ている。
米軍は停戦し、
レジスンタス十組織が「アルカイダなど力で抑え込む」と豪語しているのだから
彼らにアルカイダなど粉砕してもらえばよいではないか。
米軍と何年も果敢に戦い続けたイラクのレジスタンスが
アルカイダを粉砕する姿を全世界に見てもらえばよいのではないか。
そうすれば、全世界のムスリムも納得するのではないか。
ジハード予備軍に対しても、最も説得力があるのではないか。
己の未来の姿なのだと。
イラクの政治レベルでは、スンニ派も与党に加わり、
特にスンニ派住民に不信感を抱かれている内務省に
スンニ派の大臣を据えるべきだと思う。
それ以外にスンニ派の内務省への不信感を払拭できないのではないか。
SCIRIは抵抗するだろうが、それをアメリカが説得するのだ。
そういうアメリカの姿をスンニ派に見せつければよいのではないか。
そうすれば、スンニ派のアメリカ観も少しは好転するのではないか。
アメリカが本気で撤退したいのなら、そして、
アメリカが本気でイラクの民衆の平穏を生み出そうと考えるのなら、
そこまでしなければならないのではないか。
その上で、もう一度、本質的な意味での、テロリストとの対決戦略を立て直し、
政治的、経済的、社会的、文化的、宗教的等々の
総合的な戦略を立て直さなければならないと思う。
<スンニ派地域に限定した治安対策>
英仏独スペインなどの西欧では、アルカイダ系の容疑者を
警察が逮捕・拘束しています。
それを他の地域でも、例えば、パキスタンでも行えといっても、
現時点では、現実的には難しいでしょうね。
ただ、パキスタン政府も努力はしているのは事実です。
9・11前には、軍隊ですら、立ち入ることさえできなかったアフガニスタンとの
国境山岳地域に、地元に道路建設等の支援を行うことと引き換えに、
立ち入りを認めさせました。
それすら認めない部族とは戦闘まで行っています。
ただ、国民の間でアルカイダへのシンパシーが広範に存在し、
特に国境山岳地帯では、それが一層強いので、
捜査の手がなかなか進まないというのが現状のようですね。
それに対して、『生ぬるい』と感じている米国民も多いのでしょうね。
ただ、パキスタン政府も国民の反米感情の強さとのバランスをとらないと
反政府闘争へと向いてしまうので、そこが難しいのでしょうね。
私は、全世界の対テロ戦略についてではなく、
<イラクのスンニ派地域>に<限定>して、述べたつもりです。
テロの容疑者さえ捕まえてしまえば、後は裁判にどれだけ時間が
掛かっても別に構わないと思います。
とりあえず、イラクでのテロを沈静化させることに主眼を置いています。
「警察と軍の二人三脚で行われるべきだ」という考えは、
一般論としては、賛同できます。
ただ、現状のイラクのスンニ派地域において、という限定条件の下では、
その軍・警察という担い手の主体が、
<シーア派主体の軍・警察で、スンニ派地域での治安維持活動を担う>ことは、
拷問疑惑等により、スンニ派が強い悪感情を持ってしまっている現状では、
現時点では、効果的ではない、逆効果だと思います。
つまり、スンニ派地域では、スンニ派主体の治安維持部隊が適当だと思います。
その場合、いちいち令状をとる必要があるとは思いません。
スンニ派地域をスンニ派の治安部隊が家宅捜索すればよいと思います。
2004年4月のファルージャで停戦した後、
ファルージャは武装勢力の解放区となってしまいました。
ファルージャで米軍に対して共に戦ったアルカイダ系も
その時点では、他のスンニ派地元武装勢力にとっても
味方でした。
アルカイダはスンニ派地域では『市民権』を得て、
勢力拡張していったとも思います。
私は、ファルージャでは、確かに「アルカイダと共闘した」と思っています。
しかし、それはファルージャの人々の側からいえば、
別に当然のことだと思います。
ファルージャの普通の人々が武器を持って立ち上がったのです。
私は、この目で見ました。
現地住民が、タクシー組合だとか各レベルの組織ごとに武装し、
街を守る為に戦いました。
フツーのおっさんが戦っていました。
制服を着て戦っている訳ではないので、誰がアルカイダで、
誰がアルカイダでないかなんて、現地の人ですら識別できないと思います。
そもそもあの時点では、統一された司令部などもなく、
てんでバラバラに戦っていたというのが現実だと思っています。
街もワン・ブロックごとに支配勢力が違い、
「手荒い連中もいるから気をつけろ」と
日本人ジャーナリスト(志葉玲氏)にアドバイスしていました。
アメリカは、このファルージャでの停戦を
「悪魔と取引してしまった」とトラウマになってしまったのかもしれません。
しかし、現状では、アルカイダに対する態度が根本的に変貌していると思います
イラクの一般市民を多数無差別テロで殺害するアルカイダ。
「シーア派は殺してもよいのだ」という考えを肯定するイラク人など
全くいないとは言えなくても、ほんの数えられるほどしかいないと思います。
ほぼ全イラク人の敵として、排除・対決・追放する対象となっていると思います
アルカイダ系を逮捕・拘束することなら、市民も協力すると思うし、
現に既にそうなっています。
道路わきに爆弾を埋める行為は、
現在のイラクでは、「テロ」ではありません。
アラブ連盟主催のカイロでの会議の宣言に
「占領軍への抵抗は正当だ」と記されました。
もちろん、これはスンニ派とサドル派などの主張も
『併記』しただけのことで、
シーア派全体、クルドが内容的に認めている訳ではありません。
しかし、外国軍への攻撃を国民の何割かが肯定している訳ですから、
そういう国民の声を反映しているとも思います。
チェイニー副大統領が、エジプトのムバラクと会談し、
イラクにエジプト軍を派遣することについて会談したという。
http://www.upi.com/NewsTrack/view.php?StoryID=20060117-103239-6441r
私は、基本的にこのことを肯定的に受け止めます。
私は、ムスリム軍の派遣を望んできました。
レジスタンス十組織の統一司令部の停戦条件にも、
米軍に替わってムスリム軍の派遣を要請しています。
統一司令部ですら、米軍の即時撤退を求めていません。
「三年は掛かるだろう」と一年前に述べています。
「政治参加の条件」
一.占領軍が全ての軍隊を撤退させるという計画を発表すること
二.多国籍軍はいかなる軍事行動も行うことなく、全ての都市部から
撤退すること
三.占領軍との戦いで勾留された政治犯を全て釈放すること
四.アラブ連盟、欧州連合(EU)、イスラム諸国会議機構(ICO)の監督の下で
暫定政府を樹立する
「都市部からの撤退は半年以内」「全面撤退は三年以内」
「米軍が都市部から撤退すれば、米軍やイラク警察・軍への攻撃を停止し、
選挙に参加する」
(「イラク零年」川上泰徳(朝日新聞社)
まあ具体的にはどういう形になるのかにもよりますが、
私は基本的に肯定的に受け止めています。
スンニ派地域の治安維持にあたるのに、
・米軍よりも
・シーア派主体の軍・警察によるよりも
スンナ派のムスリム軍による方が、
どう考えてもより『マシ』なのは確かだと思います。
<私からみて良い兆候>
・12月15日のラマディで地元部族の武装勢力が23か所の投票所を武装自衛した
・それを米軍が許可したこと
・スンニ派武装勢力がアルカイダ系を拘束・引き渡し始めたこと
・新政権はシーア派、クルド、スンニ派という全政治勢力の
挙国一致の大連立政権へ向かっていること
・エジプト軍などのムスリム軍が派遣されるかもしれないこと
これらは私からみて良い兆候です。
イラク戦争の大義、レジスタンスの大義は、一時脇に置いておいて、
イラクでの流血を止める為にはどうすればよいのか、
そういう観点からみて、良い兆候だと思います。
スンニ派はイラク人口の二割にしかすぎません。
そのスンニ派武装勢力がイラク全土を制圧できる訳がありません。
そもそも、スンニ派武装勢力は、スンニ派地域での<自警団的要素>が
強いと思います。
つまり、スンニ派地域より外に出てまで攻撃する力はないのではないか。
スンニ派地域内で自衛するという立場だからこそ支持され、
その活動を担っている担い手がほとんどではないかと思っています。
だからスンニ派地域が安定に向かえば、武装解除にも応じるのではないか。
今は、そこまでどうやってもっていくかという時期だと思います。
スンニ派地元武装勢力といっても、
・そもそもその組織は何十もあるのでしょうね。
私は無知です。一体その数がいくらあるのかも知りません。
・更にはそれぞれのその政治的政策内容も知らないのに、支持するも、
支持しないもないという状態です。
・その数十もある組織の政治的方針もばらつきがあるのでしょうね。
穏健派から過激派まで
宗教派、民族派、世俗派、民主主義派、等々あるのでしょうね。
一体、交渉するにも、誰と交渉するのか、
十組織の統一司令部はあるそうですが、その統一司令部が
全組織に対して、一体どれ程の指導力、拘束力があるのかも未知数でしょうね。
米軍側から考えても、未知数の要素が多いのでしょうね。
レジスタンス側から考えても、アルカイダ系は排除したくても、
アルカイダと戦っている時に、米軍から攻撃されれば被害は甚大でしょうね。
米軍はスンニ派の聖職者や政治家を通して、水面下で交渉し、
スンニ派武装勢力と実質上の停戦状態を生み出し、
・彼らにアルカイダ系を摘発・排除してもらい
・その進展状況を見極める
これは無力で無知な私の単なる願望です。
私は、米軍がアルカイダ系『だけ』を攻撃するなら、少しも反対しません。
アルカイダ系は、ほぼ全イラク人にとっても敵なのです。
アルカイダ系『だけ』を攻撃するなら、現地住民も協力してくれると思います。
米軍は、ここ半年くらいの間に、イラク西部各都市で掃討作戦を行い、
数百人のアルカイダ系武装勢力を殺害・逮捕しています。
大量の武器も押収した映像も観ました。
これは客観的事実です。
これは、「成果」ですね。
しかし、この「成果」を獲得するのに、同時に
フセイバ、カイム、ラマディなどのスンニ派の諸都市に
かなりの被害を与えました。
一般住民へもかなりの死傷者を出したと思います。
そして、数十万人の難民も生み出しました。
さて、スンニ派の一般住民は、どのように受け止めているのでしょう。
一人一人によって、違うと思いますが、
米軍に感謝する要素と、反対に米軍を恨む要素と
私が想像するに、プラスよりも、マイナスの方が、
明らかに多いのではないですか。
そういう目に遭った住民の感情が、その反米感情が、
反米武装勢力へのシンパシーを生み出すのだと思っています。
・効率的な掃討作戦
・効率的な現地住民対策とは、とても言えないのではないですか。
そもそも、掃討作戦の対象は、街にたてこもるアルカイダ系です。
地元武装勢力は、路肩爆弾攻撃や待ち伏せ攻撃を行っています。
つまり、両者は、全く別系列の事柄です。
別次元で生起している事象です。
アルカイダ系を攻撃するのは良いのですが、
その攻撃の仕方が悪いと言っているのです。
一般住民を巻き込むから悪いのです。
アルカイダ系が一般住民を盾にしているのが悪いのです。
だから、それに直対応するのは、賢いやり方ではないと言っているのです。
ではどうするか、それが問題です。
1.スンニ派の地元部族社会に治安維持にあたらせる
2.エジプト軍などのムスリム軍にスンニ派地域での治安維持にあたらせる
1.にしろ、2.にしろ、別に米軍に被害が出る訳ではないのですから、
(むしろ米軍の被害は減るのですから)
駄目もとでもいいから、やってみてはどうですか。
・米軍の被害は減り
・アルカイダは摘発・駆逐され
・スンニ派地域の治安が回復し
・スンニ派が安定した生活を取り戻せる
・スンニ派が一層、合法的活動を担う領域を増やせる
という方向へ向かうかもしれないではないですか。
路肩爆弾攻撃等が減って、米軍への被害が減っているとは思えません。
ここ数日で米軍ヘリ二機が携帯型ロケット弾で撃墜されました。
米軍の発表によると、イラクには、こうした携帯型ロケット弾は
「数百から数千ある」そうです。
携帯型ロケット弾による米軍ヘリ撃墜は初めてだそうです。
何故、今まで、携帯型ロケット弾を使わなかったのでしょうね。
私には全く分かりません。
今後、携帯型ロケット弾による米軍ヘリへの攻撃が増えるかもしれませんね。
これは、米軍への被害が増える一つの重大な要因だと思います。
(アフガニスタンでソ連軍を撃退した重要な要因にスティンガーがありました)
スンニ派地元武装勢力は、別に領土を広げたい訳ではないと思います。
自らのテリトリーを守ろうとしているだけではないですか。
それは内発的な意思であり、テリトリー内でのみ有効なのだと思っています。
圧倒的な米軍に対して、「ヒット・アンド・ラン」作戦を採っている。
一箇所に留まらない。
つまり、住民の海の中に潜んでいるということでしょうね。
そしてそれを住民は通報しないということだと思っています。
「武装勢力はスンニの穏健派からの支持さえ失ってしまった」
ということも、確かに一部では起こっていますね。
12月15日の投票所でのインタビューで、
そのように発言しているスンニ派も確かにいました。
しかし、米軍の掃討作戦は、そういうスンニ派の穏健派すら区別することなく、
街ごと空爆してきたのですよ。
これは貴方からみても賢いやり方とは言えないのではないですか。
近づこうとした穏健派をすら、わざわざ敵側に追いやっている訳ですからね。
内務省を牛耳っているSCIRIとそのバドル旅団に問題があることは
明らかだと思います。
バース党=スンニ派ではありませんが、
フセインはスンニ派を優遇することを通して、
自らの政治支配体制を維持・強化していたのは事実です。
スンニ派地元武装勢力は、
少なくとも「フセイン体制復活」なんて目指していません。
そう願う人が皆無だとはいいませんが、
少なくとも多数派とはいえません。
そもそも、スンニ派武装勢力は数万人、
クルド地域でもペシャメルガが数万人、
シーア派地域でもシーア派各派民兵が数万人、
他地域には侵入すらできないのではないですか。
事実、境界線付近はともかく、他地域に侵入していません。
特にクルドのペシュメルガは、長年の戦歴を持ち、
米軍とももう何年も共同行動を通じて更にレベルアップしているので、
米軍を除けば、現在イラク最強軍団だと思います。
そうではなくて、フセイン時代に優遇されてきた社会的・経済的地位を
失ってしまったことに対して、危機感を深め、
ある意味で『復権運動』という要素を持っていたと思います。
端的には、スンニ派の軍人達はくびになって、
収入ゼロになってしまったんですからね。
何とか生きていく為に必死だったと思います。
スンニ派地域から米軍を追い出すことが目的だと思います。
スンニ派地元武装勢力は、
2004年のファルージャではアルカイダと共闘したと思います。
アルカイダは正真正銘のテロリストです。
しかし、ファルージャで米軍と闘う行為そのものはレジスタンスです。
<テロリスト>という実体が行う行為全てがテロではありません。
極悪人が家族に愛を注げば、それは愛の行為です。
犯罪者が善行をすれば、それは、犯罪者が善行をしたのです。
38万人都市ファルージャを攻撃する米軍こそが、侵略者だというのが、
ファルージャ住民側の考えです。
テロリストであるアルカイダとファルージャで共に闘っても、
それは何ら問題はありません。
ファルージャ住民の側の論理です。
ただ、車爆弾テロでイラク市民を多数殺害する行為は無差別テロです。
スンニ派武装勢力が、市民への車爆弾テロを共に行ったとは、
私は思っていません。
そういう証拠があるのでしょうか。
そういう行為を行ったスンニ派組織はテロ組織だと思います。
2万人のスンニ派武装勢力の全てが
無差別テロに関わっているとは思っていません。
スンニ派地域でも、他地域と同様、政治権力の空白を埋めるべく、
各種の自治組織が結成されました。
住民自治というレベルでは、イラク全土で生じていました。
フセイン政権崩壊後、すぐに武装闘争が激しくなった訳でもありません。
第一の主要な原因とまでは言いませんが、
米軍による占領統治のマズさから、各種レベルの抵抗が
昂じていったという要素も確かにあると思います。
過激派からいえば、ことあるごとに、反米の機運を盛り上げ、
米軍のミスにつけ込んで、民衆を反米の方向へ、
まんまと持ち込んだとも言えると思います。
ファルージャでの最初の発砲は、民衆側からでした。
それは空中に向けて撃ったものでした。
しかし、デモ隊の中に、ほんの数人の過激分子が紛れ込んでいて、
デモ隊全体に米軍が発砲するように、まんまとうまく仕向けたと思います。
そういう悪魔のような奴が実在することも事実だと思います。
しかし、米軍は、好意的に言っても、それにまんまとハメられたと思います。
昨日発売された「ファルージャ 栄光なき死闘」アメリカ軍兵士たちの20ヶ月
(NO TRUE GLORY;A Frontline Account the Battle for Fallujah;BING WEST)
という本を読み始めました。
ファルージャでも当初、米軍はアメとムチの両方を駆使して、
ファルージャの治安を安定させようと必死で努力している姿を知りました。
少なくとも現場の兵士達はよく努力していましたね。
それを現場の実情を知らない『上』から、制圧命令が出ました。
現場の指揮官達は必死に反論したことも知りました。
ファルージャの中にいた原理主義過激派が民衆を扇動したんですね。
旧バース党勢力よりも、ファルージャでは、過激なイマームが
扇動したと書かれていました。
まあそうなんだろうと思いました。
イラク人もかなりしたたかですね。
米軍の援助はしっかり受けておきながら、一向に恭順しようともしません。
部族長などは、多額の支援金を私物化していました。
あるがままのイラク人を美化するつもりもありません。
・民衆の広範な反米意識の存在
・過激派による扇動
・米軍の占領・統治政策の甘さ・ミス
色々な要素が複合して悲劇へと向かったのではないか。
それを現在的に教訓化するとしたら、何を教訓化すべきなのか。
確かに悪魔のような扇動者が実在することは事実だと思います。
そういう悪魔のような扇動者の跳梁を許さない為には、
何をなすべきなのか、
何をなすべきではないのか、
<選挙に参加したこと>=<スンニ武装勢力を支持しない>
=<抵抗を諦めた>
とは、言えないと思います。
そういう人が増えつつあるかもしれませんが、
武装勢力を支持し続けるが、投票も行うという人も多いと思います。
つまり、投票したことだけで、武装勢力をもう支持しなくなったとは、
必ずしも言えないと思います。
1月3日ベイジで
無人偵察機(UAV)が、道路を掘っている三人の男性を発見し、
三人が家に入った所、その民家をF18で空爆し、六〜七人の家族が死亡
というニュースをCNNで観ました。
より厳密に言えば、
1.道路を掘っていたように見えただけで、本当に道路を掘っていたのか
2.道路を掘っていたのが事実だとして、それが爆弾を埋めていたのかどうか
3.道路を掘っていただけで、即殺すという行為は正当と言えるのか
とまあ、すぐにいくつか疑念が生じますけどね。
別件ですが、別の番組では、容疑者の手のひらを薬品で検査して、
煙硝反応がないので、解放していたという事実も観ました。
「テロを行った者がテロリスト」です。
正真正銘のテロリストを抵抗軍と呼ぶのは、確かにばかばかしいと思います
しかし、米政府系シンクタンクの言う二万人のスンニ派武装勢力が、
二万人が全てテロリストなんですか?
そうは言えないでしょう。
<テロリスト>と<テロリストとは呼べない地元武装勢力>を
混同しているのではないですか。
<テロリストとは呼べない地元武装勢力>は「抵抗軍」でよいのではないですか
テロリストとは、少なくとも、『まだ』呼べないのですから。
可能的テロリスト、潜在的テロリスト、将来的にはテロリスト
これらは、少なくとも、現時点では、テロリストと呼ぶことは
正しくないと思います。
確かにスンニ派地元武装勢力の中にもテロリストといってもよい者も
いるとは思います。
アルカイダと六組織が連名で声明を出しているので、
イラク人のテロリストも実在していると思います。
それは、別にスンニ派には限りません。
クルド人の原理主義過激派の一部組織は、爆弾テロを行ってきたテロリストです
だとしても、スンニ派の二万人だかが、全てテロリストだとは言えないでしょう
スンニ派地元武装勢力の内、
テロリストとテロリストとはいえない者を区別しなければなりません。
そうでなければ、「テロを行っていない者もテロリストだ」ということに
なってしまいます。
スンニ抵抗軍と停戦すればよいではないですか。
そうすれば、停戦を守らない者は、
「イラクの治安を乱す」者として、是非粉砕しましょう。
「そういう戦いならイラク人からの支持も得られるし
イラク軍もイラク警察も仕事がやりやすくなるだろうということだ」
スンニ抵抗軍と停戦し、スンニ抵抗軍が、戦う相手ではなく、
共にアルカイダ系と戦う味方にすればよいのではないですか。
チリでは初の女性大統領が誕生しました。
1973年9月11日:もう一つの9・11の
ピノチェットによる軍事クーデター
バチェレ女史の父親は空軍の大佐でしたが、拷問され虐殺されました。
彼女自身も母親も政治犯として拷問されました。
そういう彼女は、復讐ではなく、和解を訴えています。
そういう経歴を持つ人の言葉ですから、重みがあります。
復讐ではなく、融和が進むことを願っています。
チリでの出来事はまさに民主主義の勝利ですね。
イラクでも、何年も掛かるのでしょうね。
何年後かのイラクで、平和と民主主義が達成される。
そうなると思いますが、
しかし、それでも、それまでに流される血を
今、現在、少しでも、少なくする努力を、
もしできるなら、そういう努力をこそするべきだと思います。
米軍は停戦に応じて欲しい、私の願いはこれです。
そういう努力をこそして欲しいと願っています。
今、BBCのニュースを観ていたら、
イラク・イスラム党の人間が、インタビューで、
「テロリストと戦う。
テロリストとの戦いは、テロリストが拠点にしている村や街で
テロリストと戦うことだ」と述べていました。
スンニ派の最大政党が、テロリストと戦うと言っているのですから、
スンニ派にスンニ派地域で、テロリストと戦ってもらってはどうですか。
部族・宗教指導者、元将校が戦術一本化を提案
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/1125-2005_Resistance_Report.html
「イラクのあらゆるレジスタンス組織は、一つの戦法として攻撃して退却する、
つまり『ヒット・アンド・ラン』の攻撃方針を採用してきた」という元旅団長
(准将)の言葉を報じた。この将軍は自分の名前が出ないように要請したが、
彼は有名な司令官であり、その名前は占領軍が指名手配した「第2のリスト」に
挙がっている。この司令官は、
「ヒット・アンド・ラン」(攻撃して逃げる)という戦術を使うことによって、
「アメリカ軍に損害を与え、慌てさせることによってレジスタンスの所在地や、
どこを拠点にして作戦を遂行しているかを判らなくさせることができる」と
話した。
司令官は、「しかし、ある都市に入ってそこを軍事拠点や攻撃作戦の基地に
することは、軍事的には愚かな行為であり、
レジスタンスがどんなに大きな軍事力をもっていようと、
(敵にとっては)、その活動を終わらせることが容易になる。
米軍戦闘機はラマディのような都市ならいくらでも爆撃し、
24時間後には瓦礫の街に変えることができる。
それこそ占領軍の思う壺なのだ」
テロリズムとの本質的対決の再構築を