「イスラムの挑戦:13億の民はどこへ向かうのか」世界潮流2005:NHKBS
  (2005.1.2放映)

・イスラム金融(ドバイ・イスラム銀行)
 イスラム法では利子を禁止している為、
 ・預金者
 ・銀行
 ・事業者
 この三者が利益も損失も三分する。
 融資先には、イスラム法で禁止されている酒・ギャンブル等への融資は禁止。
 それを審査するのがシャリーア(イスラム法)委員会
 世界に200ほどイスラム銀行がある。


・ハワラ:イスラム世界伝統の送金システム:信用決済:書類が一切残らない。
 ドバイの人口の80%はパキスタンなどからの出稼ぎ労働者。
 銀行の手数料は労働者にとっては負担。
 手数料の安いハワラが広く利用されてきた。
 9・11以降、ドバイではアメリカの要請を受けて、ハワラの摘発が進められて
 いる。
 一部の業者は、場所を転々としながら密かに営業を続けている。
 送金の証拠が残らないことから、テロリストの資金移動の手段として使われて
 いたとみられています。
 しかし、ハワラの大半は一般市民が利用。突然の取り締まりに戸惑い。


・ダウ船
 ドバイには、千年の歴史を持つイスラム世界のネットワークが今も息づいて
 います。小型木造船ダウ船が海上貿易。海のシルクロードの主役。
 ドバイはダウ船の拠点港。年間二万隻が出入り。貨物船に比べて手軽で早い。
 最も活況を呈しているのがイラクへの出荷。
 ダウ船は武器や麻薬などの密貿易の担い手ともみられている。



 禍福はあざなえる縄の如し。
 何が良いか分からないものですね。

「社会構造が歪んでいる。油上の楼閣」(寺島氏)
・石油価格は五年前の二倍。3000億ドルの石油収入。
・9・11以降、中東のオイルマネーが欧米に向かいにくい。 
 資源輸出による国民経済。
 産業構造が発達しない。
 社会構造もそれに見合って発達しない。
 意識構造もそれに見合って発達しない。
 そういう社会的・経済的・思想的に考える必要があると思いました。
 何故なら、社会を安定化する一つの根本は、中間層の確立というものにあると
 考えているからです。中間層が出現し、確立すればするほど、テロリズムや
 過激派の活動する余地は少なくなっていくと思うからです。
 多面、貧富の格差も同時に生じてくるのですが、命を奪われるよりは、
 ましだろうという過渡的・一時的・現実的判断です。



・共生への道
 イギリスでは、一般のイギリス人市民が、モスクを見学したり、礼拝を体験し
 たり、食事会などの交流を行っています。
・イギリス議会では、宗教によって差別してはならないということを法制化しよ
 うとしている。人種差別を禁じる法律はあったが、宗教による差別の禁止を
 明文化したものは無かった。
「イギリスのファシストの党設立者が党大会で『イスラムを憎め、こう言っても
 いいんだ。何故なら法律で禁止されていないのだから』と言ったんです。
 彼は人種差別的なことは口に出しませんでした。何故ならそれは法律に違反し
 ているからです」
(イギリス内務省平等問題担当政務次官フィオーナ・マックタッガード)
「そういう法律を作らなければならない程、根が深い」(曽野綾子女史)

<共生していくために最も必要なことは?>イギリスでのアンケート
(イスラム・非イスラム各百人)
・対話による理解:37%
・国際間の協調:25%
・教育:16%
・社会的平等:8%
・その他:4%
・共生できない:10%



 曽野綾子女史は、
「ブッシュの周辺には、たくさんのアラビストがいて、取捨選択しているのかと
 思ったが、そうでもないらしい」
・アラブの格言
「証拠を持たない男はうそつきだ」
「請求は悪魔から来る」
「一夜の無政府主義より数百年にわたる圧政の方がまし」


 寺島実郎氏は、
「冷戦終結後=イデオロギー対立の終焉後、宗教、民族問題が吹き出てきた、
 宗教性への回帰。グローバル化=均質化、標準化、画一性への拒否から生じて
 いる」と述べている。

 旧ソ連圏では、確かにこれらは徹底的に抑圧されてきた。
 しかし、宗教性への回帰は、旧ソ連圏に止まらない。

 小林秦氏は、
「近代化が成功しないから回帰したい者と、
 近代化が成功したから回帰したい者との両方がいる」

 79年ホメイニ革命

 イラク戦争は「自作自演の不必要な戦争」(寺島氏)

「日本は欧米と違って、中東・イスラムに武力介入したことがない。
 武器輸出をしたことがない。パレスチナ問題にも中立。
 イスラムの問題で中立的な立場を取れる例外的な先進国。
 そういうポジションにいることを自覚し、関わる。
 中国は新疆ウイグル問題、ロシアはチェチェン問題。
 日本は対テロ戦争に吸い込まれてはならない」(寺島氏)

 そうですね。実は日本はイラク問題において、先進諸国では唯一例外的な
ニュートラルなポジションにいたんですね。政治的には。
 日本がイラクの平和にイニシアティブをとるということができれば、
素晴らしいことなんですけどね、、、
 日本がアメリカに一歩退いてもらうよう説得し、せめて、現在ならスンニ派
地域からアメリカ軍に引いてもらって、そこにムスリム軍を派遣するように、
日本が国際社会をまとめるなんてことができれば、私はそんな日本なら、
本当に心から誇りに思い、愛せますね。

「イスラムの挑戦:13億の民はどこへ向かうのか」世界潮流2005:NHKBS