2004年10月6日
ファルージャ再建を目指す現地の人14人中6人と
イラクの隣国ヨルダンのアンマンで会合。
日本からの寄付金800万円で学校を修復する計画。
まずラマディの学校から。

代表のカーシムさんは、
以前は「苦しくて報復だけを考えていた」

これまでに二つの学校を建て直しました。
見積もりでは、一つの学校を修復するのに約五百万円掛かります。
工事の日当一人一日6ドル。
若者に収入の道を提供するのもこのプロジェクトの大きな目的です。
職場が破壊され、仕事のなくなった若者がお金に釣られ、
武装グループに誘われるのを防ぐ為です。
「若者が戦闘以外のことを見つけられた。そこが重要なんだ」(カーシム氏)

 アンマンの町では、DVDで映像が入手できるんですね。
ファルージャの映像をノートパソコンで、その場で見ることができるんですね。
(iBook G4 で見ていました)

 10月8日
イラクに行きたいという日本人が居ると聞き、駆けつけました。
24歳のカメラマン志望の青年です。
「イラクは混乱している。ちょっと行ったぐらいでは何も分からないよ。
 行くな。今は駄目だ」(カーシム氏)
「分かってないよ。貴方を受け入れる所はどっこもないよ。できれば受け入れた
 くないんですよ。火種を受け入れることになる。是非理解して欲しいのは自分
 その存在がもうヤバイ、外国人であるということが彼らにとっての新たな爆弾
 になってしまう。イラク人のことを考えるなら今は行かない方がいい」
(高遠氏)
二時間説得し、更にもう二回説得し、イラク行きをあきらめさせました。


 日本国際ボランティアセンター・アンマン駐在の原氏がヨルダンの市場で
見つけたというDVDを持って来ました。
5月に結婚式で50人以上が殺害された映像でした。
トラック一杯の遺体。
「3人の子供と母親を一緒に埋めるって言ってる。家族のうち26人が殺された
 んだって」とカーシム氏が訳していました。
「これを見ない方が良かったかもしれないね」というカーシム氏に、高遠さんは
「いいえ、知らなきゃいけないの」と答えていました。
「私は何をしたらいいの」
「君が僕らを理解してくれるだけで充分なんだよ」


 外国人と接触することを恐れるイラク人ドライバーに気を遣い、
ロビーで別れていました。


「結果的に生きていて、今はまだ恐怖とかネガティブな想いの方が強い。
 この事件があったからイラクともっと深く向き合えるようになったと心から
 思えるようになった時が私がこの事件を乗り越えた時」

「君が僕らの気持ちを代弁して下さいと言われてきたので、
 今は無理してでも頑張ります」



 高遠さんは心底苦労したんですね。
あれだけの凄いバッシングを一個人が受けたのですからね。
私には想像もできない凄いプレッシャーだったと思われます。
人質事件については、ファッルージャの情勢が緊迫していたことを知っていた
上で、それでも無理して入国しようとしたことは情勢判断ミスです。
多くの人に迷惑を掛けたことも事実だと思います。
しかし、それでも再び立ち上がるとは大したものです。
しかも、自己規制といろいろと教訓化していることを窺い知ることができます。

・イラク国内には決して入らない。まあ現情勢では当然の判断です。
・しかもイラクに入りたいという日本人青年を何度も説得して、
 イラク入りを翻意させました。
・日本からの寄付金でイラクの学校再建に協力
・しかも、現地雇用を創出させるという目的意識は、イラクの若者を、高失業率
 から、武装勢力や原理主義にリクルートされることを防ぐという正しいものだ
 と思います。
・「外国人と接触することを恐れるイラク人ドライバーに気を遣い、ロビーで
  別れ」るというのは、現地情勢を的確に認識し、配慮していることが明らか
 に伝わってきます。

 サマーワの自衛隊も現地雇用を創出しています。それは肯定的に評価します。
自衛隊以外に、日本人が現地イラク人の雇用を創出しているという話は
私は他には知りません。
 高失業率から、武装勢力や原理主義にリクルートされている側面は非常に
大きいと思っています。
 現地雇用創出という高遠さんの行為は、高遠さんを批判する人でさえ批判でき
ないのではないでしょうか。
 私には、いくつかのNGOやアムネスティ・インターナショナル等に僅かな
寄付金を送るくらいしかできません。
 ですから、高遠さんの行為は尊敬します。


日本国際ボランティアセンター・アンマン駐在の原氏
http://www.ngo-jvc.net/php/jvcphp_epdisp.php?ThreadName=m01&ArticleNo=latest

「生かされて 高遠菜穂子 アンマンの20日間」:ザ・ヒューマンD