「緒方貞子:難民支援の現場から」(集英社新書)

 「緒方貞子:難民支援の現場から」(集英社新書)という
本を読みました。
 90年から2000年まで国連難民高等弁務官として、湾岸戦争後
のクルド人難民、ボスニア紛争での難民、アフガニスタン難民、
ルハンダ難民、コソボ紛争での難民を支援してきた。
 砲弾の飛び交うサラエボへも行っている。

 難民支援は、事態の本質的解決ではない。それはその通りだ。
むしろ、難民支援を口実に、事態への本質的解決を糊塗して
いる場合すら、現実には、ある、と思う。
 しかし、本質的解決と現実的解決とがある。
本質的解決でなければ、他は一切無意味だ、という訳ではない。
今日を生きることに困っている難民には、今日、助けが要る。
その意義と限界を自覚した上で、やはり敬意を払いたい。