『スクープ
 サマワでの市街戦を可能にする武器改造を指示する陸自の
 内部文書が オランダ軍の撤退決定直後に発令されていた』

問題の文書は、「89式5.56mm小銃の改造について」と題された通達書。
陸上幕僚長の印が押され、宛名は各方面総監、補給統制本部長、
イラク復興支援群長となっている。
「改造指令書」という四枚の文書が添付されており、サマーワ駐留部隊が
使用している小銃の改造方法がイラストつきで細かく説明されている。
文書が発令されたのは、7月9日。

「イラク復興支援で使用される89式5.56mm小銃の切換えレバーを改造し、
 左右いずれの据銃姿勢においても迅速に射撃が実施できるようにして、
 隊員の安全性の向上を図る」
「本改造は任務終了後、改造前の状態に復帰する」

 89式小銃には、安全装置がかかった状態、単発、連射、3連射の4段階に
切り換えるレバーがついている。ただし、この銃はレバーが右側にしかついて
おらず、右構え(右手を引き金にかけ、左手で銃身を支える姿勢)でなければ
撃ちにくい。

「左右どちらの構えでも射撃できるということは、物陰に隠れて撃ったり、
 狭いところで撃てるようになるということだ」
(陸上自衛隊幹部学校元研究員高井三郎氏)

「身の安全を守りやすくするためで、攻撃しやすくするということではない。
 任務の内容に影響を与えるほどの大きな改造ではない」
(桜美林大学国際学部加藤朗教授)

「市街地のような狭い場所だと、道路の角を(壁伝いに)曲がるときなどに、
 右利きの人も左構えで銃を使うことがある。市街戦でより効率的に活動する
 ための改造だろう」(自衛隊関係者)

 10月6日から2週間、グアム島で行われた米海兵隊と陸上自衛隊中部方面
第3師団第37連隊の合同演習では、市街戦を想定して訓練が行われた。

「オランダ軍が撤退し、自衛隊が自らサマワの警備や治安維持を担当すること
 を視野に入れているのではないか」(自衛隊関係者)

89式小銃は、改造により、
「今までより断然早く、射撃モードに切り換えられるようになる」という。

「憲法論的には、派遣段階で銃をもっていくことも違憲すれすれだった。
迅速に射撃するための改造となると、その一線をはっきりと越えることになる」
(北海道大学大学院法学研究科棟居快行教授)

「当初は専守防衛だったものを、そうした仕様に切り換えねばならなかった
 理由は何か、説明を受ける必要がある」(民主党原口一博衆議院議員)

「やらないことを訓練するのはおかしい」(民主党前原誠司衆議院議員)

「フレキシブルで殺傷能力が高くなる改造は、また既成事実のをつくっている
 としか思えない」(北海道大学大学院法学研究科棟居快行教授)



 <銃を改造すること>と<それを実際に使用すること>とは、全く別物です。
<市街戦を想定すること>と<実際に市街戦を戦うこと>とは、全く別物です。

 現行憲法でも、イラク特措法でも、治安維持活動は認められていません。
現行のイラク特措法では、オランダ軍に替わって、自衛隊が治安維持活動を
行うことはできません。

 では、何故、できないことを訓練したり、銃を改造したりするのでしょうか?

 <自衛隊を紛争地に派遣した>という実績の次なる目標は、
<治安維持活動>なのでしょうね。
着々と既成事実を積み重ねていますね。
<フツーに戦争できる国>へと着実に邁進していますね。

「イラク自衛隊 戦闘への密令」:Newsweek 12・8号