・去年5月国連安保理決議1483
  ローン報道官
 「占領当局が絶対的な権限を持つ」
 「国連は占領当局に密接に協力しなければならない」
  国連にとって屈辱的なものでした
 「イラク人からみて、国連がアメリカと異なる機関だと理解することは非常に
  難しいことでした。国連はアメリカを助けるために来ていると思われていた
  のです」

・バグダッド国連事務所去年8月自爆攻撃

 「占領当局の絶対的な支配下で国連は活動を行わなければならなりませんでした。
  これは国連史上初めてのことでした」

 「国連には、何の独自性も、権限もない」
 「国連本来の役割を果たせない」
 従って、イラクから撤退すべきだ。

 アナン事務局長は、1994年のルワンダ内戦の経験から、アメリカなどの
 協力なしには国連は機能しないと反省

・ブレマー案:2004年8月まで占領、憲法を制定し、占拠を実施し、その後、
イラク新政府
 「親米政権を樹立し、利権も確保したいというアメリカの強い意志を感じさせ
  るものでした」

・アメリカは、ネグロポンテ米国国連大使が、新しい安保理決議の採択を目指す
 狙いは、多国籍軍を創設し、ブレマー案を実現する兵士と資金を集めること

・アナン氏は、はっきりと拒否
 「アナン氏は、占領当局主導のイラク復興は成功しないと確信していた」
・アメリカ案に替わる国連案を
・去年9月:安保理常任理事国5カ国ジュネーブ外相会議
 ・アナン氏は「アメリカによる占領を一刻も早く終わらせる必要がある」
 「国連案は、まずイラク人による暫定政権を作る。彼らが憲法を作り、選挙を
  行う。イラク人主体の復興を行うことで、占領に対する憎しみをなくすことが
  できるはずです」
 「占領軍への攻撃という大義を奪い、イラク人の手による復興を国連が支援する。
  東ティモールやアフガニスタンで培った方法」
 ・パウエル国務長官「治安を回復できるのは占領軍だけです」
 ・アナン氏「悪い決議は人の命を奪う」"Bad resolutions kill people."
  「もしイラクの反乱者が占領に対して闘っているのならば、その占領を終結
   させることが、攻撃の大義を奪い、攻撃を減少させる」
 
・去年9月:国連総会で、アナン氏は、
 「ある一部の国は、たとえ他国の領土であっても、たとえ大量破壊兵器がまだ
  開発中であっても、先制攻撃が可能だと主張しています。この論理は戦後
  58年間に亘って国連が辛うじて守ってきた平和維持の思想に根本的に挑戦
  するものです」

・安保理理事国15カ国昼食会でアナン氏は、
 「国連は占領軍の下でイラクの建設を支援することはできません。政治的な
  役割を担うのは、占領当局か国連かのどちらかなのです。我々は占領当局を
  助けるためだけに、命を危険にさらすことはできません」

・去年11月ブレマー氏:2004年6月30日に主権をイラクに返還
 ・イラク統治評議会25名全てをブレマー氏が指名
 ・暫定国民議会議員を占領当局と統治評議会が選ぶ

・シーア派「直接選挙で暫定政権を」
     「それが可能かどうか国連に専門調査チームの派遣を」
     「選挙を国連に担って欲しい」

・1月:国連にシーア派とスンニ派を派遣、ブレマー氏も参加
 ・アナン・ブレマー会談
  ・ブレマー氏「国連選挙調査団の派遣を」
  ・アナン氏「シスターニ師をなだめるためだけに国連がイラクに戻ることは
        できません」
 ・三者会談(暫定行政当局・統治評議会・アナン事務総長)
  ・統治評議会「ブレマー案ではまとまらない」
  ・アナン氏「国連選挙調査団を派遣するかどうか検討する」

  「統治評議会は分裂し、ブレマー氏にも統制がとれなくなっている」

・アルジェリア元外相ブラヒミ氏に選挙調査団長
 ・レバノン内戦を終結させた実績
 ・アラブ世界の国家指導者と面会できる

・2月:選挙調査団イラク入り
 ・シスターニとの会談

・選挙調査団調査報告書
 ・アメリカ案は不可能
 ・今年5月までに枠組みが決まれば、来年始めには選挙は実施可能
 「人々が選挙によって国作りに参加できれば、治安が回復する可能性もある」
 「選挙には治安確保が必要。選挙の準備を進めることで治安が改善されること
  もある。自分の意見が選挙で反映され、国作りが進むと思えば、その過程を
  守ろうとする、治安を改善するためにテロリストを支持しなくなる」

・4月14日:ブラヒミ氏
 「こんな治安だからこそ、選挙に向けたプロセスを進めることが急務です」
 「この問題に軍事的な解決はありません」
 「武力の行使は状況を悪化させるだけです」

 <構想>
 ・6月末までに国連主導で暫定政府
 ・国民和解を目指す「大会議」
 ・来年1月にも選挙

 「暴力の連鎖が止まらない今、あえて未来に向けた構想を示す必要がある」


 「アメリカの単独行動主義から国連中心の多国間協調主義へと変える挑戦」

 アナン氏は、
 「アメリカは世界唯一の超大国。しかし、アメリカだけでは、できないことが
  あるのも確かです。アメリカもまた他の国と協力しなければなりません。
  警察も軍隊も持たない国連にできることは、各国が協力できる枠組みを作り、
  その活動を推進することです。それが国連が成功する唯一の道なのです」

・4月16日:米英首脳はブラヒミ氏の構想を支持すると表明

「イラク復興:国連の苦闘」:NHKスペシャル