フォトジャーナリストの橋田氏のイラク突入記です。

 痛快ドタバタ活劇というノリが面白かったです。
偽造ビザで入国し、強制退去させられても、何と日本人ムジャヒディンとして
しっかり再入国するというのは、とっても面白いですね。
 なんともはや、ベテランの現場での臨機応変というか、冒険野郎マクガイバー
のように、ピンチを何とか乗り切るという器量が凄いです。敬服いたします。

 出てくるイラク人のほとんどが、ワイロを当然のことのように要求するのも
印象に残りました。


・巻頭座談会:戦場でジャーナリストは詐欺師になる
 不肖宮嶋氏と勝谷氏との座談会
・偽造ビザ作戦
 なんと偽造ビザでイラクに入国

「アジアの農耕世界とアラブの遊牧世界では思考方法がまったく違う
 問い詰めると、農耕社会では沈黙、遊牧社会ではウソを教える」(p.65)

「パシャンという建物をたたく音が聞こえる。劣化ウラン弾を落としているの
 だろう。貫通力が強いから、頑丈なビルでもダメージが大きい」(p.127)

「ベトナム戦争などと比べると米軍の爆撃ははるかに正確なのだが、
 やはり誤爆はまぬがれない」(p.141)

 人間の盾は「事実上の軟禁状態。人間の盾ではなく、人間の檻」(p.148)

 情報省への爆撃に対しては、「それにしても米軍の爆撃の精度に驚く。
アンテナは情報省とキリスト教会にはさまれた狭い地域にあった。それを、
ただ一発だけのピンポイント爆弾で破壊したのだから。「国連査察委員会の
メンバーが、前もって誘導装置をしかけていたんじゃないの」「そうかもなー、
たった一発だったもんねー」」(p.151)

「戦争前から国連による「査察委員会」という合法的組織がハナ毛からケツの
 アナまで調べ上げている。委員会のメンバーには、アメリカのプロの軍事専門
 家も入っていただろう。戦う相手国の軍事機密を前もってすべて手に入れてい
 たのだから。それも一年近くかけて。今度の戦争は、前もって相手国の軍事情
 報をすべて調べ上げている前代未聞の戦争である。それほどバカげた戦争。
 これはまともな戦争ではなく、ネコが、死んでいるネズミをもてあそんでいる
 だけ」(p.152)

「爆撃は続いていますが、炎が立たない、どうしてでしょう?
 火薬の調合でしょう、硝酸を少なくしているのでしょう」(p.162)
「最初の本格的な爆撃は、バクダッド市民に心理的ダメージを与えるために、
 意識的に炎が燃え立つ爆弾を投下したのだろう。それから後の爆撃は、本当に
 効果が上がる貫通爆弾を投下しているのだろうと推測する」(p.162)

 イラクから強制退去させられ、シリアのダマスカスに戻る。
しかし、シリアのダマスカスのイラク大使館でイスラム義勇兵ムジャヒディンを
見かけるや、日本人ムジャヒディンとしてビザを取得する。
 なんともはや、よくやるよなぁ〜と感心させられる。

「B52による絨毯爆撃の跡だ。ベトナム戦争のハノイで見た光景と同じだった
 。」「ひどいな」人口密集地域にも絨毯爆撃を加えたのだ」(p.231)

「ブッシュは嫌い。でもフセインよりは、いいかも」
「アメリカによって、新しい平和と繁栄の時代が来るかもしれない。そう期待
 しているのだろう。だから米軍の爆撃に対しても「生みの苦しみ」として、
 ある程度許しているのだろう」(p.233)

「今度の戦争で米軍は従軍記者を募った。これは事実上、敵と味方のジャーナリ
 ストを区別するという意味となる。米軍のこの記者会見は、今後の記者活動に
 対する新しい恫喝と警告でもある。今後は敵側からの取材はさせないという
 米軍の決意表明にもなる」(p.238)

「イラクの中心で、バカとさけぶ」:橋田信介(アスコム)