「石の花」(坂口尚・講談社漫画文庫)

 「石の花」は、コミックです。(講談社漫画文庫)
著者の坂口尚氏は、手塚治虫の弟子だそうです。

 内容は、第二次大戦中のユーゴスラヴィアを舞台にして
います。チトー率いるパルチザンを中心に描いています。
 ナチスのゲットー(強制収用所)のことも描いています。

 5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つ、
多民族国家ユーゴスラヴィアをヴィヴィッドに描いています。

 私は小さい頃、チトー率いるユーゴパルチザンを描いた
「ネレトバの戦い」という映画を観ましたが、もうほとんど
何も覚えていません。

 「石の花」は、フィクションですが、とってもリアルに、
現実性をもって迫ってきました。
 文学として高度かどうかは、ともかく、ユーゴのリアルな
一断面を描いていることに間違いはありません。
 私は、この間、旧ユーゴ関連の本を数冊読んでいるんですが、
書物だけでは、どうもリアルに現実がいまひとつ感じ取れ
なかったので、この「石の花」を読んで、とってもよかったと
思っています。

 「石の花」は、「コミック・トム」に1983年から86年
まで連載されました。
 「コミック・トム」は、気鋭の作品が多かったと思います。
 (今もまだ出てるかどうかは知りませんが...)
 
 講談社漫画文庫版は、全5冊、1冊583円です。