「イラク現地報告:自衛隊がサマワに行った本当の理由:
  テロを呼ぶ「復興利権」の行方」(森哲志)情報センター出版局
  1600円+税

 <陸上自衛隊の軍事行動>
 2004年3月19日午前8時前、筆者は、サマワからバスラ方面に向かった。朝の
通勤時間帯は道路が込み合う。側道から国道に合流するY字路に英軍ジープが
止まって交通止めにしている。オイル関連のトラックを通しているためだ。
15分経っても車列は終わらない。やっと終わり、車が動き出した。トラックの
車列の最後尾をガードしているのは、自衛隊の軽装甲機動者だ。銃座では銃口を
35度の角度で構えている。著者は自衛隊の車輌のすぐ後ろに入るように運転手に
指示する。銃口を構える自衛隊員はさっと反応した。少しでも変わった動きに
対しては敏感に反応すべく神経を集中させている。車列は時速60キロも出ていな
い。普通なら100キロ以上出す道だ。みんなイライラして、抜きにかかろうとす
るが、英軍ジープがさっと左手を出して、「追い抜くな」とサインが出る。更に
米軍車輌も車列に加わり、自衛隊車輌はその最後尾で米英軍車輌を護衛している。
 同じこの道で、3週間近く前、米軍車輌を追い越そうとしたイラク人トラック
が、停止命令に従わなかったため、発砲を受け、一人死亡、一人重傷という事件
が起こっていた。だから、みんなノロノロ運転にじっと我慢するしかない。

 <国際法違反の銃弾>
 2004年3月、サマワ総合病院にて。停止しなかったという理由で米軍に銃殺さ
れたイラク人の遺体を見る。「内臓は跡形もない」血のにじむ黄銅色の金属片も
見せてもらった。国際法上、弾丸の形状が変形するものは、対人使用は禁じられ
ている。

 <米英軍の車輌を護衛する陸自の車輌の写真>と<銃弾の金属片>の写真が
P.2にカラー写真で掲載されている。
 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/notice/honto_no_riyuu.htm
  
「政府にとって、「サマワは危険地帯でなければならない」。これは自衛隊派遣
 を肯定するための生命線である」
 もしそうでなければ、NGOの方が人道復興支援に効率的であるという声に反論
できない。
 では、何故NGOではなく、自衛隊でなければならないのか?

「イラッキは、MITSUBISHI、TOYOTA、NISSANの乗用車やトラックだけに引きつけ
 られたんじゃないんだよ。ジャパニーのおかげで、みんなの暮らしが便利に
 なったんだ。日本人を見かけると、知らんふりなんてできんよ」
 オイルショックの危機を救うために商社マン等が、灼熱のイラクで奮闘、尽力
した結果であろう。イラッキのみならず、日本人の暮らしを守る努力でもあった。
 2004年1月下旬、クウェート市で復興イラク展示フェアーが開催され、50数カ
国約1500社が参加した。日本企業も百数十社出展。
「イラクの復興支援は『商機』である。インフラ整備の受注に向けて、すでに
 動き出している」(三菱重工業社長)
「自衛隊は日本経済の『先遣隊』である」

 日本が照準を定めている油井もイラク南部にある。
 イラン、アザデガン油田も近い。
 2003年秋からイラクの石油は日本に運ばれている。
昭和シェルが確保。英蘭のロイヤル・ダッチ・シェルの傘下だ。
イラク南部の英日蘭と符合している。

イラク貿易に「貿易保険」を適用(2003年9月:超スピード適用)

「企業活動には手厚く保護の手をさしのべ、同じ民間人である個人の人道支援に
 は、「どこまでも自分勝手な、迷惑を顧みない者の仕業」として、と手を差し
 出すどころかビンタを食らわせる」

 SONOL FUEL COMPANYというイスラエル企業がヨルダンの提携会社を経由して、
イラク北部米軍に毎月34000トンにのぼる燃料を供給
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040227_3.htm

 日本人人質事件は日本人への愛着に対する決別であったかもしれない、、、

「イラク復興を口実に、その資源や富を奪おうとしている国がある」(イラク
 商工会議所)
「イラクは略奪の対象にされている。それは、アリババ行為に等しい」(イラク
 ・エコノミスト協会)

「1920年への回帰」1920年イギリスの占領に反抗する決起はファルージャのスン
ニ派が口火を切った。ナジャフのシーア派がこれに呼応した。

 アラブ諸国はイラクに主権国家が成立し、その要請があれば、復興に関わる
という長期的な姿勢を取ろうとしている。

 国連のガイドラインには、人道支援と軍事活動を明確に区別し、軍事組織は
直接的な人道支援をすべきではないという基準を設け、紛争地域でこれらの
人道支援ができるのはNGOだけである、との原則を定めている。

「米軍は、早くイラクから出て行くのがいい。その後、国連が入って、アメリカ
 が滅茶苦茶にしたイラクを立て直すのが一番だ」(ブラヒミ国連特別顧問)

「自衛隊がサマワに行った本当の理由」