多民族による共存がうまくいっていたとされるセルビア北部のボイボディナ
自治州でコソボなどからの紛争地域からの避難民の増加に伴って民族主義の台頭
が見え始めています。

 65%:セルビア系
 15%:ハンガリー系
 その他

 チトー時代は民族融和のモデル地区
 豊かな穀倉地帯
 89年以降、連邦政府により自治権が大きく制限
 一人当たりのGDPは旧ユーゴスラヴィア諸国の平均を大きく上回っています
 経済力は健在
 公的機関ではセルビア語、ハンガリー語、スロバキア語、ルテニア語の四つの
言語で表記
 少数民族保護の精神はさまざまな場面に息づいています。

「ボイボディナには約30の民族があり、少数民族の利益擁護が行政の役割です。
 議会でも6つの言語が公用語として認められています」
(チャナック州議会議長)

・ジャーナリストの木村元彦氏のレポート
 紛争地から避難してきたセルビア系住民は、生活も厳しく、その苦しさを
他の民族への敵意に転化させています。
 街には、至る所でセルビア系民族主義を掲げる民族系政党の看板が目に付き
ます。
 急進党の看板を撮影中、一人の少年が、かつてはタブーとされてきた過激な
セルビア民族主義を表すポーズ(親指・人差し指、中指の3本を伸ばす)を
とりました。
 民族融和の代名詞でもあったボイボディナでネオナチを彷彿とさせる光景に
出会ったのは初めてでした。
 州都での今夏の市長選挙では、民族主義政党の急進党が当選
民族主義の台頭はついに行政レベルにまで及び始めました。

「事態が改善されない失望感から難民たちは民族主義に走ったのでしょう」
(ハンガリー語新聞編集長ヨカイ氏)

・柴宣弘氏は、
 これはシルビア人問題、民主党支持のセルビア人と民族主義支持のセルビア人
の問題。背景に難民問題・経済問題。

「新たな民族対立の懸念:ボイボディナ」NHK・BS