「タリバン」
(田中宇:光文社新書)
680円

 タリバン兵がブルカを着用していない女性に暴力をふるう。
アメリカの女性団体が女性差別だと声を上げた。
 しかし、パキスタンの難民キャンプで生まれ、パキスタンの神学校で育った「戦争しか知らない子供達」
であるパシュトンの息子達であるタリバン兵は、実は祖国で生活したことすらなかった。
もしアフガニスタンの農村で、見知らぬ女性に危害を加えたら、その女性の親族による復讐を覚悟
しなければならないという。
 故国を知らないタリバン兵は、そんな故郷の「常識」すら知らなかったのだ。
 (まあ、もう既に故郷は、内戦で破壊し尽されていて、最早存在さえしていないのだが、、、)

 ブルカは伝統的な上着であって、ブルカ自体を着たくないという女性は一割しかいないという
調査結果が出ているという。
 彼女達が嫌悪しているのは、たまたま何らかの理由でブルカを着ていない女性に対して、
タリバンが暴力をふるったり、投獄したりすることであるという。
 だから、アメリカの女性団体が、ブルカの存在自体が「女性差別」であると主張しているが、
こらはアフガニスタンの女性達にとっては、民族衣装を否定されたことになるため、アフガニスタンの
多くの女性達が怒っているという。