World Economic Forum on the Middle East
Sharm El Sheikh Egypt 20-22 May 2006

「ハマスに揺れる中東を語る」(NHK)

「50か国、1100人が参加
第四回の今回のテーマは『新世代の約束』


 <リヴニ首相代行兼外相>の発言

「ハマスが国際社会の求めに応じてテロを放棄したり、
イスラエルの存在を認めたり、
過去の和平合意を尊重したりするとは思えないですね。
もしそれが実現したなら、ハマスは私達のパートナーに成り得ますよ。
しかしそうでない限り、あくまでハマスと対決していくつもりです。
ハマスの閣僚の顔ぶれがどうであろうと、彼らのイデオロギーが変わらない限り
私達は態度を変えることはありません」

(会場からの質問)
<貴方はハマスに対してチャンスを与えるつもりはないと発言しましたが、
考えを変えるつもりはありませんか。
彼らにチャンスを与えることは出来ませんか。
疑わしきは罰せずという言葉もあります。
その精神で彼らにチャンスを与えようとしない限り、
和平の実現は難しいのではないでしょうか>

「疑わしきは罰せずと仰いましたが、疑わしいどころか、
ハマスは自分達の思想をはっきりと主張しているんですよ。
98年に作られたハマス憲章というものがあります。
大昔のものではありません。
それを読むと、パレスチナ問題については一切書かれていないんです。
つまりハマスがいうパレスチナとは47年のイスラエル建国以前のパレスチナで
あって、イスラエルの存在そのものを認めていないのです。
ハマスには、暴力を停止し、イスラエルの存在を認めるという
選択肢があるではないですか。
既に私達はそういうチャンスを与えているのです。
彼らが今後変わることを期待しています。
しかしそうでない限り、交渉の余地はありません。
私達の存在を認めようとしない人達とどうやって交渉しろというのですか」

「人道的危機を招いた責任の一部はパレスチナ側にあるのですよ。
ハマスが暴力を停止しないからこうなったんですよ。
過去の和平合意を尊重しないからこうなったんですよ。
何故暴力を停止して、人道的危機を避けようとしないのですか。
それがそんなに難しいことだとは思えないのですが。
この事態を招いた責任はハマスにあるのです」


(会場からの質問)
<アメリカから来たナスルといいます。
どうしても壁を作りたいなら、何故イスラエルの領土内に作らないのですか。
アメリカだって、国境の壁をメキシコの中に作ったりはしませんよ>

<司会者:67年の停戦ラインに壁を作らない理由は?>

「そのラインの向こうには、今イスラエルの市民が住んでいるのですよ。
そして日々子供達が自爆テロで命を落とす恐怖に耐えているのですよ。
私達は彼らを守らなければならない責任があるのです。
いいですか、壁やフェンスによって二つの国の共存が保証されるのです。
私達がガザから撤退したのもその為です。
パレスチナ側も、将来のパレスチナ国家樹立を求めるのならば、
自分達の利益ばかり考えて、私達の方針に闇雲に反対するばかりでは、
話は前に進みません。もっと建設的な行動が必要でしょう。
確かに壁はあります。しかし所詮人間の作った物に過ぎないではないですか。
イスラエルとパレスチナの間の境界線や最終的な地位は
今後の交渉次第なのです。
いつだって壁の位置を変えることはできますよ。
壁は領土を分割しようというメッセージでもあるのです。
パレスチナ独立という貴方達の夢に繋がるものではないですか」

「私達は壁を建設しようという決断をした後も、パレスチナ側と話し合って、
最終的な壁の位置を協議しようという意思を持っています。
その前提として私達の安全が確保されなければならないのは
言うまでもないことです。
また付け加えるならば、ヨルダン川西岸にある壁の内、
90%はこちらの領内にあるのですよ」


(アリカット元対イスラエル交渉担当:パレスチナ暫定自治政府)
「我々には資金もなく、海軍も空軍もありません。
ですからイスラエルが戦車でやって来ても、それを止める術がありません。
しかし何があろうと、1967年の停戦ラインの
パレスチナ側に壁を建設することには同意できません。
それが私達の最後の一線です」


<リヴニ首相代行兼外相>
「私だって自分や両親の夢である偉大なるイスラエル国家は諦めています。
つまり領土の拡大は諦めました。
ですから最終的地位の議論を進めたいのであれば、
イスラエルが存在しなかった頃まで遡ったり、
国連決議以前の頃まで逆戻りすることは建設的ではないのではないでしょうか」

「イスラエルとパレスチナが互に会うことすらできない程
憎しみ合っていたのは過去の話です。
過去にいつまでも囚われず、
いかに和平のプロセスを進めていくかを考えるべき時です。
ただし双方が交渉に臨むことができるような環境をしっかり準備して
からでないと、交渉は単に双方に不満を残すだけのものになります。
そればかりか、テロリストの行動を正当化してしまいかねません。
確かに前に進もうとする決断は重要です。
しかしその基本方針は双方の意思をしっかり受け止めたものに
しなければなりません。拙速は良い結果をもたらすことはないでしょう」



(カザン編集長:アル・ハヤト紙)
「ハマスは決してイスラエルを認めません。
ハマスが対話するのは神であって、国際社会ではありません。
そんな政権は数か月ともたないでしょう。
そうなる前にハマスはアッバス議長と力を合わせ、
実務に長けた政府を樹立すべきです。
内政や外交の経験を持つ専門家に任せるのが良いと思います。
ハマスは地方行政に専念すれば良いのです。
彼らは人々の生活に密着したきめ細かい目配りができます。
また、汚職などもなく、その面では人々の信頼を集めています。
しかし国際社会との付き合い方はよく分かっていないようです」



http://abcnews.go.com/Business/wireStory?id=1987546&page=1

世界経済フォーラム中東会合:リヴニ外相の発言:NHK(2006.6.4)