「ガザ撤退から4か月 パレスチナ難民の現状」
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)カレン・アブザイド事務局長への
インタビュー (430万人のパレスチナ難民)
「1969年以来エジプトと自由に行き来できるようになった。
野菜を輸出する人も出始めました。
入植地の農地をそのまま利用して、温室を管理している。
港を建設することができないことが問題。
この五年間大学を卒業しても仕事はありませんでした。
三万人の雇用を創出する計画。
『食糧ではなく、仕事をくれ』という声をよく耳にします」

インタビューした澤畑剛記者は、
「現在のガザ地区の失業率は35%
2000年の第二次インティファーダ前は10%
イスラエル兵がいなくなったという開放感はあるが、
日々の生活状況の厳しさは変わっていないというのが現状。
UNRWAの職員数は26000人。外国人は百人余り、それ以外は全てパレスチナ人。
UNRWAそのものがパレスチナ難民にとっては重要な働き場となっている。
UNRWAの二つのプロジェクト
・空港、港湾の大規模整備事業:領空・領海問題という
 イスラエルの治安対策との問題
・イスラエルへの出稼ぎを元の水準に
 かつては、ガザからイスラエルに日々6〜7万人が出稼ぎ労働
 現在は三千人」

ガザ撤退後、パレスチナ警察とファタハとの銃撃戦
汚職追放を求めて警官が政府官庁を占拠する事件と治安は悪化しており、
最近、UNRWAまでもが国際機関としては初めて襲撃される(1/1)

<UNRWAが爆破されたことをどう感じましたか>
「怒りとショックを受けました。
一線を越えたと感じました。
背後関係や何が攻撃の理由だったのかは関係ありません。
たとえ犯行が小さな組織によるものだとしても、
パレスチナの人々を支援している我々を何故攻撃するのか疑問が残ります。
真実を知りたいと思います。
治安悪化の原因の多くは選挙に関係していると思います。
また、職を求める気持も原因の一つです。
人々が自分の考えを主張し、それが許されるということは、
民主国家への過程の表れとも言えるでしょう。
今では職を求めるデモが毎日各地で行われています」

「ハマスはこれまでパレスチナの人々と生活を共にし、
そうすることで支持を得てきました。
人々はハマスを信頼しています。
ですからパレスチナの人々は地方選挙でハマスに投票したのです。
ハマスはこれまでイスラエルを国家として認めず、無視してきました。
しかし、自治評議会選挙に参加することで、
我々が現在みているハマスの指導者達は、
イスラエルとこれからどう向き合っていくか
真剣に検討する必要があると考えているようです。
我々はハマスの選挙参加は認められるべきだと考えています。
その理由は、政治に参加すれば、
時には妥協も必要になることを学ぶと思うからです」

<治安悪化の理由>
澤畑剛記者は
・選挙を前に政治的緊張を反映
・治安を守る筈の警察の内部で派閥争いが表面化している
・失業や部族対立を背景として、武装集団が暴徒化している

最新の世論調査の支持率
・ファタハ:35%
・ハマス:30%

「カレン・アブザイド事務局長は
『ハマスの政治参加こそが、中長期的にみれば、
武装闘争路線を放棄させることにつながる重要なステップだ』
と明言していました。
ハマスの政治部門の幹部とは頻繁に連絡を取り合っている。
「ハマスを抜きにした和平の実現はありえないという
事務局長の発言は重いものだと思います」(澤畑剛記者)

「事務局長は、人々の支持があるものを阻害しては、
決して復興はうまくいかないと認識している」(司会者)

「アブザイド事務局長は、パレスチナ人自身の手で治安を回復させて、
その上で、ガザの復興をすることが極めて重要だと強調していました」

UNRWA事務局長インタビュー:(NHKBS)