イスラエルの人気キャスターであるヤビン氏は、自ら、撮影、ナレーション、
原稿を担当した五部作のドキュメンタリーを制作するも、出演中のテレビ局から
放送を拒否され、ライバル局で、五月末から六月初めにかけて放送。

Haim Yavin(Israel Channel 1 Anchor):Diary of a Journey

"Since 1967 we have been brutal conquerors,
occupiers,suppressing another people.
I cannot really do anything to relieve this misery other than
to document it,so neither I nor those like me will be able to
say that we saw nothing,heard nothing,knew nothing."

「1967年以来、イスラエル人は他の民族を征服、支配し、抑圧を続けてきた。
 この惨状を見ても、聞いてもいなければ、全く知らなかったとも
 言わさない為には、現状を記録に収めなければならない」

「私はとても単純なことを言っただけです。
 ただ、道路の封鎖や直接テロとは関係ないパレスチナ人の弾圧、
 そして破壊された住宅。
 こういったものを目にしながら黙って立ち去ることはできないということ
 なんです。
 私はこういったことを目撃しながら、それを報道しない訳にはいかないのです。」


<西岸の入植者もいつかは退去せざるをえなくなると思われますか>

「私達はこれから長い道のりを進まなければなりません。
 この問題はとても複雑です。
 シャロン首相は、ブッシュ大統領の目の前で宣言しました。
 西岸の入植地は維持するとはっきり言ったんです。
 西岸を恒久的に維持する為にガザ地区は返還すると明言したんです。
 これからは、西岸からの撤退に取り組まなければなりません。
 宗教的、歴史的な意義がとても深く、イスラエル人の思い入れが強い場所です
 から、これからまだ激しい対立があるかもしれません」


<西岸の入植地でも非人道的な行為が行われていましたか>
<入植そのものは正しいと思われますか>

「いいえ、でも入植者達の考えや信仰に基づく信念は理解することができます。
 イスラエルはユダヤ人が先祖の土地に戻って来て建国した国家です。
 この点が必ず考慮されなければなりません。
 イスラム教徒もキリスト教徒もこの地が聖地であると考えています。
 ガザ地区というのは、西岸と違って、イスラエルの土地の一部であったことは
 一度もありませんでした。
 私達は第三次中東戦争前の国境に戻るべきだとは思いません。
 領土に関して、イスラエルとパレスチナは妥協しなければなりません。
 それは可能だと思います。
 妥協に向けて進んでいこうという機運が生まれているからです。
 私は妥協する以外に道はないと信じています。
 パレスチナ人もイスラエル人もこれからもこの土地で暮らしていきます。
 私達はお互いに共存することを学ぶしかないのです」



 <私の感想>
 ヤビン氏は、失職をも辞せずに、信念を貫き通した点を尊敬します。

 日本でも五月に邦訳が発売された「パレスチナから報告します」の著者、
ハアレツ紙のアミラ・ハス女史は、ガザ、西岸で、もう十数年以上も取材を
続けています。

 デイビット・グロスマン氏の著作も三冊日本で邦訳され出版されています。

イスラエルにも占領地での実態を報道するという気骨のあるジャーナリストが
結構いるんだなと、最近やっと遅ればせながら知ることができました。

「GOODBYE TO GAZA」:ABC NIGHTLINE (2005.8.17)