アヤト・アフラス、18歳、女性。パレスチナ人。
 イスラエルの市場で自爆。
 前夜に婚約者と話しをしたが、自爆については一言も語らなかったという、、、
 
 色々なことを話したかったに違いない、、、
 しかし、もし話したら、どうなるだろうか、、、
彼女はどう考えたのだろうか、、、
止められる、、、いや、俺が代わりにやると言われる、、、
、、、全くの想像でしかないけど、、、
深い葛藤があったことは確かですね。
よく耐えたものだと感心させられます。
よく頑張ったなと感心させられます。
 
 私はテロリズムには反対です。
 カミユは、「正義の人々」という戯曲を書きました。
帝政ロシアで、爆弾テロを行うお話を書きました。
ナロードニキ(「人民の中へ」)は、歴史の教科書にも出てきたのではないですか。
爆弾を抱え、馬車の中の人に突っ込もうとしました。
しかし、その隣りに子供が座っていました。
だから、突っ込みませんでした。
ナロードニキの爆弾テロは間違っています。
しかし、目標の人だけでなく、自分自らの命を同時に差し出す。
それが、最低限の倫理だったのだと。
 
 埴谷雄高は、「目的は手段を浄化するか」と問題を立てました。
革命という理想を実現するという目的は、
それを実現する手段を正当化するのか、ということです。
人間の人間的解放という理想。
しかし、それを実現する過程で、その理想も貫徹されるのでなければなりません。
しかし、現実はそうではありません。
理想の実現の為には、少々汚いことがあってもよいのだ、と。
しかし、それこそが、間違っているのです。
歪んだ手段の積み重ねによって出来上がるのは、歪んだ目的でしかないのです。
埴谷雄高のこの基準は、厳密に守られねばなりません。
 
 人間は変わります。悪人も反省し、生まれ変わることが出来るのです。
だからこそ、テロは間違っているのです。
人間変革を放棄してしまっているからです。
人間変革を通してしか、人間社会を変えることが出来ないにもかかわらず。
 
 
 「アルジェの戦い」という映画があります。
 宗主国フランスに対する植民地の民族解放闘争で爆弾テロを行います。
買い物かごに爆弾を仕掛けてフランス人を殺害したゲリラに、
法廷で「卑怯者!」という罵声が浴びせかけられます。
「君達は戦闘機で我々を攻撃する。もし君達が戦闘機をくれるなら、
 買い物かごを君達にあげよう」と。そういい残して、そのゲリラは処刑されます。
 
 う〜〜ん、私には、ここが、本当に難しいです、、、
 
 イスラエルは、米軍の最新鋭の武器で武装しています。
最新鋭の戦闘機、戦車、ミサイル、暗視装置、、、
 パレスチナ人には、素手と石、、、少しの銃、、、
 イスラエルの報復は、イスラエル人一人に対して、パレスチナ人を
その数十倍殺害すると公言しています。
 
 もし、パレスチナ人の置かれている状況に、
わが身を移し入れるならば、テロ反対と、そう簡単には言えないと思います。
では、テロ賛成かというと、そうではありません。
だから、、、
 
 う〜〜ん、、、今のところ、ここで思考が止まってしまっています。
 
 
 しかもパレスチナ人の多くは、平和的なデモしかしていません。
一部の過激派がテロを行っているのです。
多くの民衆はそのテロを支持しているようです。
 
 カイロ合意によるパレスチナ暫定政府による自治。
しかし今、イスラエルはそれを無視して軍事行動を進めています。
毎日パレスチナ人を虐殺し続けています。
だから日々、パレスチナ・ゲリラは再生産されるのです。
ビン・ラディンは、毎日再生産されているのです。
 
 
 今日の夜、11時頃のニュース番組で
日本人女性の映画監督による自主映画「ヒバクシャ」を紹介していました。
湾岸戦争後のイラクでの米軍が使用した「劣化ウラン弾」により、
イラクの子供達が白血病で数多く死んでいるということでした。
(アメリカでの原発近くでのアメリカ人被爆者も描いているそうです)
 
 湾岸戦争後、国連はイラクへの経済制裁を決めました。
フセインへの制裁です。軍需品をイラクに入れないのなら全く正しいと思うのですが、
実際は生活必需品、医療品等々も制限されました。
貧しい一般庶民にとって、食料不足による体力低下、それに加えて医薬品の欠如、
その上に劣化ウラン弾による白血病、、、
イラクでは、湾岸戦争後、子供が100万から150万人も死んだそうです。
つまり5分に一人、子供が死んでいるということだったのですね、、、
   
 イラク戦争が始まる前に、9・11貿易センタービルでの被害者の遺族が、
バクダットに行き、アメリア・シェルター(湾岸戦争時、数百人の一般民衆が犠牲になった)
の中で、「イラク攻撃反対」と訴えたそうです。
 今頃になって知った自分が恥ずかしいですが、こんなニュースをもっと広く大きく報道して
欲しかったですね。
 
 オノ・ヨーコも新聞のある一面全部を使って戦争反対を唱えました。
マドンナは、「(9・11という)この恐ろしい出来事を、私は目覚めよとよびかける声だと考えたい」と。
 
 しかし、戦争は起こってしまいました。
アメリカにとって、
1. 9.11というテロへの報復。本土を攻撃されたことのないアメリカのメンツ回復。
2. 湾岸諸国での石油埋蔵量は世界の6〜7割。
  石油の安定供給を保つため。(反米政権を倒し、親米政権を打ち立てる)
3. アメリカでの経済状況の失速を乗り切るために、戦争による軍事産業の活性化。
  それを通じてのアメリカ経済へのカンフル剤として。
 
 まあ、アメリカにとっては、明確な目的があり、それを実現するために戦争を目的意識的に行った訳ですね。
18歳