拉致問題

 北朝鮮による「拉致事件」により、在日朝鮮人への白眼視が続いています。
登校途中の在日朝鮮人の生徒への嫌がらせ等々です。
その為、民族衣装であるチョゴリを着て登校できない時期もありました。
 もちろん北朝鮮による「拉致」はひどいことです。
そもそも北朝鮮は、一部の特権官僚による民衆支配の国なのであって、
マルクスのマルクス主義とは何の関係もありません。
私から言わせれば、スターリニスト官僚専制支配国家なんですが、、、
 (「偉大な将軍様のおかげで」とか、個人崇拝は、マルクスの思想とは無縁です)
 (レーニンは遺書で自分の墓を作るなと言いました。)
 (それを無視してレーニン廟を作り、個人崇拝を煽ったのはスターリンです)
 日本の朝鮮総連と社民党(総連と友好関係にあった)は、北朝鮮の公式見解、
つまり、「拉致事件などない、政治的でっち上げだ」という意見を繰り返してきました。
今、社民党では脱党者が相次いでいるそうです。
 確かに、北朝鮮の公式見解を正しいと信じてきた己を根底から反省せねばなりません。
 大変苦しいことでしょうが、根底から反省せねばならないと思います。
 
しかし、在日朝鮮人は、戦前の日本軍により強制連行されてきたのです。
80万人から100万人もです。しかも炭鉱の地下数百メートルという危険な作業を
させられたり、(井上光晴の小説にリアルに描かれています)
従軍慰安婦という性奴隷として、、、
 全く日本人として顔から火が出るくらい恥ずかしいことをしてきたのです。
 今、日本の雑誌(「正論」とか「諸君」)には、右翼的な論客が「強制連行などなかった」とか、
「従軍慰安婦なんていなかった」と、いけしゃあしゃあと書いています。
(またぞろ「南京事件はなかった」とも言ってます)
 
 日本人として、本当に恥ずかしいと思います。
過去の日本の数々の残虐な行為を反省し、それとの関係で、
「拉致問題」も考えます。
過去の日本の悪行と相殺できるようなものでもありません。
 
 私は、アメリカの軍事政策にも反対だし、
日本政府の軍事政策にも反対だし、
北朝鮮の軍事政策にも反対だし、
これらの点で、在日朝鮮人の人たちとも、
共に軍事政策反対というスクラムを組めるとも思っています。
それこそが、過去の経験に踏まえた一つの解答だとも思います。
 

そもそも在日朝鮮人は何故日本にいるのか。
それは、戦前の日本の軍部が強制連行してきたからなのであり、またたとえ自分
でやって来たのだとしても、軍部により強制的に土地を奪われて日本へと仕事を
求めてやってきたのだ。しかも極めて低賃金の過酷な労働条件の下で。
 そして、敗戦後、日本では種々の政治的・経済的諸権利すら認められず、
また、民族的差別の下で苦しんできたのだ。
 それが更に北朝鮮で、帰国者として差別されるとは!!
ましてや、強制収容所に入れられたり、銃殺されたり、、、
何ということだ、二重、三重の悲劇を無理やり味わわされているとしか思えない。
 そういう民族差別に抗する為にこそ民族同胞を守り合う民族組織としての朝鮮
総連だった筈なのだ。
 しかし北朝鮮の政治的コントロールの下に、政治的・経済的に利用されるだけ
の存在と化してしまっていたのだ。

 朝鮮総連は急速に組織的瓦解状況を迎えているらしい。
しかし、日本での独自の民族教育等は、権利であると思う。
朝鮮総連内の朝鮮労働党組織=学習組は解散したそうなので、

・拉致事件等、自己批判すべきことは、自己批判し、
・北朝鮮の政治路線にも、批判すべきことには、批判する。
 (本当は、北の政治路線と決別して欲しいのだが、決別するかどうかは、)
 (彼ら自身が決めることだろう。)
 
 その上で、民族団体として、民主的に、自主的路線が取れる組織として
 再生して欲しい。
 
 ただ、一つ気になるのは、帰国者という人質を取られているということだ。
 下手なことをすれば、帰国者の身にどういう災いが降りかかるのかという
 ことが心配だ。
 そもそも十万人弱の帰国者の内、どれくらいの人が銃殺され、どれくらいの
 人が強制収容所に入れられているのかということを知らないのだが、、、

知っていますか?在日韓国・朝鮮人」問題:一問一答」(解放出版社:P.11)
によると、
 在日朝鮮人の人口は、
・1910年:800人
・1920年:3万人
・1930年:30万人
・1940年:120万人
・1945年:200万人

「日本は、朝鮮の土地所有が不明確だったことを理由に、農民から土地を取りあ
げ(土地調査事業)、高い小作料で経済的に圧迫された農民は、生活苦から、朝
鮮南部では日本へ、朝鮮北部では中国東北部やロシア沿海州への移民が多くなり
ます。中国の朝鮮人は現在二百万人を数えています。
1939年からは強制連行を行います。」(P.12)
 「総督府が土地調査事業と称して、1912〜18年までに不法に強奪した土地が全
農地の40%に達し、この土地を東洋拓殖株式会社などに譲り渡して、朝鮮に移住
してきた日本人に安い価格で払い下げた。また山林令によっても、全山林の50%
以上が日本人の所有となり、鉄道・通信・道路も日本の独占経営になる」
 (「韓国・朝鮮を知るための55章」明石書店p.161)

日本の敗戦後すぐ、1949年5月までの引揚者を141万人と韓国政府はしていま
す。(「韓国・朝鮮を知るための55章」明石書店p.165)
 で、残りの70万人程度は、確かに帰国はしていなにのですが、
しかし、朝鮮半島の南北の分断、北はソ連が、南はアメリカが、占領統治という、
状況がありました。
そして、1950年の朝鮮戦争。帰国するには、祖国の状況が混迷していた。
そのため、一時帰国を見合わせているうちに、南北が分断固定化されてしまった。
そういう歴史的・政治的状況があるでしょうね。
 また、異国人(日本人)との結婚、また親族の病気回復を待っているうちに、
帰国するチャンスを逃したというケースもあったでしょうし、
まあ逆に、商売・経営状態が良いので、帰国を見合わせたという人もいるでしょ
う。
ただ、帰国の条件に、帰国する場合の所持資産が制限されたため、少し蓄財した
人達にとっては、帰国を躊躇させる一つの要因になったことは、確かでしょうね。

・関東大震災時の朝鮮人大虐殺ということがありましたね。
・戦後の「吹田事件」等の騒乱事件は、戦後の六全協前の日本共産党の指導の下
 に行われた訳ですから、「日本共産党員としての在日朝鮮人」の行動は、日本
 共産党の戦略・戦術の誤りの問題として論議されねばならないのではないでし
 ょうか。
 

 2、3年前に直木賞を受賞し、映画化もされた「GO」には、在日の新しい世
代が描かれていますね。
 ヤクザ等にしかなれないという社会的背景はまだあるでしょうね。

最近は、反体制組織が国外には、いくつか組織されているようですね。
まだまだ小規模のようですが。

 きちんと理論的に反論せねばならないのでしょうが、残念ながら、現在の私の
力量には余るようです。今後の課題にしたいと思います。

 最後に、アメリカの心ある人達にとっては、ネイティブ・アメリカンの問題は
心の十字架になっています。
 日本人にとって、太平洋戦争でアジアの民衆に与えた災禍は、日本人にとって
の心の十字架だと思っています。
 特に在日の方達は、この日本に生きて、生活している訳ですから、最も身近な
心の十字架だと思っています。
 心の中の負い目というか、罪の意識というか、まあ私は古い人間のようです。
 まあ、道徳的な、精神の持ちようの問題ですから、決して強制するような性質
のものではないとも思っていますが。

「わが朝鮮総連の罪と罰」(韓光熙:文藝春秋)によると、バブル期には、
年間数千億円も北に送金されていたそうです。万景峰号でのチェックも杜撰
だったと書かれています。
 在日の商工業者の出資で合弁企業もいくつか作ったのですが、ことごとく
失敗だったと書かれています。
 ただ、バブル期後は、送金額も年々減り続けているそうです。
まあ、それはそうでしょうね。

朝鮮労働党と日本共産党という両党の関係はよくは知りません。
確かに1960年頃の帰国者の内、日本共産党員は、自動的に朝鮮労働党員になったと書かれていました。そして、その後の朝鮮労働党内での党内抗争によって、
中共派やソ連派への粛清の過程で、旧日本共産党員も、その多くが粛清されたと
書かれていたのですが、、、
 日本共産党も、その自主独立路線から、その路線的にも、朝鮮労働党との関係は冷たいものという気がするんですが、、、
 現在の両党関係については、ほとんど全く知らないんですけどね、、、

 最後に、アメリカの心ある人達にとっては、ネイティブ・アメリカンの問題は
心の十字架になっています。
 日本人にとって、太平洋戦争でアジアの民衆に与えた災禍は、日本人にとって
の心の十字架だと思っています。
 特に在日の方達は、この日本に生きて、生活している訳ですから、最も身近な
心の十字架だと思っています。
 心の中の負い目というか、罪の意識というか、まあ私は古い人間のようです。
 まあ、道徳的な、精神の持ちようの問題ですから、決して強制するような性質
のものではないとも思っていますが。