放射能兵器 劣化ウラン:核の戦場 ウラン汚染地帯
(劣化ウラン研究会:技術と人間)2500円+税

・<第一章 危険な劣化ウラン弾>
「米英軍は危険性を知っている」
米陸軍環境政策報告(95年6月)「現在のところ劣化ウラン弾に内在する化学的・放射線的毒性を
有効に減少させる方法は存在しない」
米英海軍では、劣化ウラン弾の使用を中止し、タングステン弾に切り替えた。
91年の湾岸戦争後、イラク南部では、遺伝子欠損による先天性形成異常を持つ
幼児の誕生は、戦前の8%から28%に増加している。
湾岸戦争に参加した米兵のうち、25万人強が健康被害を訴え、治療を要求している。
汚染地区に入った米兵の43%に相当する。
18万2千人が疾病・障害補償を請求している。この内、9千人以上が既に亡くなっている。
当人だけでなく、家族にも被害は広がっている。
ガルフウォー・ベビーと呼ばれる。ミシシッピー州の退役兵2世の67%もが障害を持って生まれた。
湾岸戦争帰還兵の英兵2万9千人の内、8千人が健康障害を訴えている。
既に5百人以上が亡くなっている。
ボスニア、コソボ空爆による被害。ハジッチ住民の10%がガンで死亡。
劣化ウラン弾の射爆場がある米国メリーランド州ボルティモアでは、ガンの罹患率が毎年全米で3〜5位。
この基地の風下のデラウェア州のガン死亡率は全米1位である。

 地球上の離れたニ地域(イラクとボスニア・コソボ)、条件の異なる4集団(イラク住民、湾岸戦争帰還兵、
ボスニア・コソボ住民、NATO軍帰還兵)だけを取り上げても、これだけ共通する疾病がでている。
この全部に共通する条件は、劣化ウラン弾以外に考えられない。

 セラミックウラン(不溶解性ウラン)
劣化ウラン弾が戦車などを貫通する際に生まれる劣化ウラン粒子は、セラミック状になり、
体外に出されるのに10〜20年かかる。微粒子が5ミクロン以下だと半永久的に肺に留まる。
溶解性のウランなら20時間で尿とともに体外に排出される。
劣化ウランは放射性毒と化学毒をあわせ持つ。複合し、相乗作用を及ぼす。
 米陸軍環境政策報告AEPI:「劣化ウラン酸化物を含む煙霧は、風下地域を汚染する可能性がある。
また、劣化ウラン酸化物によって汚染された装備は、その酸化物が再び浮遊し、吹き飛ばされ、洗われ、
または移動途中で落下するため、汚染源となりうる」

フランスは、かつては劣化ウラン弾を使用していたが、現在は使用していない。

 劣化ウラン弾に汚染された米戦車等の移送・クリーンアップ作業の指揮をとったダグラス・ロッキー物理学
博士(米陸軍少佐)は、「たった24台の汚染された車輌だけで3年間の時間と数百万ドルがかかった。
イラクやユーゴに放置されている何千という汚染車輌のクリーンアップには、どれ程のお金と労力が必要と
されているのだろう。」「二度と戦闘にウランを使うな、売らせるな。全ての汚染地域の完全なクリーンアップと
全ての被害者への医療補償を」と、自身もその作業過程で病魔に犯された身で強く訴えている。

 コソボのアルバニア系住民は、劣化ウラン弾を拾い集めている。住民達はNATO軍は解放軍だと思って
いるので、NATO軍の言い分(「劣化ウラン弾は安全」)を信じ切っていて、危険だなどと考えもしない。
 2001年国連環境計画(UNEP)は、コソボで発見された劣化ウラン弾を分析したところ、プルトニウム239
が含まれていたと発表。他にプルトニウム240やウラン236も。
国連環境計画(UNEP)は、天然には存在しないこれらの超ウラン元素が検出された理由として、劣化ウラン
の原料に、原発の使用済み核燃料を再処理して得られたウランを、一部使ったためではないかとしている。


・<第二章 劣化ウラン弾とは(劣化ウランの軍事転用)>
ボスニア症候群
ボスニハで、ギリシャ軍は、「劣化ウラン弾の健康への影響に不安を感じる者には帰国を認める」と通告。

欧州議会は劣化ウラン弾の使用停止を求める動議を賛成多数で可決。

 通常の銃弾では戦車の装甲板を打ち抜くことはできないが、劣化ウラン弾は、鋼鉄の装甲を「豆腐に槍を
突き刺す」かのように打ち抜く。内部に飛び込むときには装甲板との摩擦熱により劣化ウランが溶ける。
空気中に溶けた高温(1133度以上)の劣化ウランが飛び散り、一瞬のうちに発火し燃焼する。
燃焼により3000度にも達するために、戦車内部の砲弾や燃料が誘爆を起こしてしまう。
劣化ウラン弾を「徹甲焼夷弾」とも呼ぶのは、このためである。
 内部に火薬や焼夷剤を詰め込まなくて済む劣化ウラン弾の場合は、一般の戦車砲弾よりもはるかに細長く
作ることができる。比重が重いため、射程距離も長くなる。
 自軍戦車には、劣化ウランの装甲板を取り付けている。

95年沖縄の鳥島で劣化ウラン弾を射爆。

「米軍はソマリアでも劣化ウラン弾を使用」(ドイツのシュピーゲル紙)

 米軍は「劣化ウランからの放射線はテレビ並み」の弱いものである発表し、日本政府はそれをオウム返しに
宣伝している。確かに塊となっている金属状態ではそのように表現できる。しかし微粒子となった場合は
たちまち悪魔の申し子のような存在になる。
 塊状態では放射されたアルファ線の大部分が他の原子により遮蔽されて、外に出ないのに対して、微粉末に
なれば全てのアルファ線が外に打ち出される。化学反応は表面積に比例して進むので、微粉末になった場合
の全表面積は金属の塊だった場合の表面積に対して桁違いに大きくなる。化学毒も微粒子になって全面的に
解放される。
 劣化ウランが標的に激突すると、その運動エネルギーは標的に穴を開ける「仕事」と「熱」に変わる。
劣化ウランは熱せられると燃え、また穴を穿つさいに激しく摩擦されることによって砕け散った破片は空気中で
激しく発火する。
 直径10マイクロメートルの酸化ウランの微粒子が体内に入った場合、この微粒子からは約1分に1個程の
アルファ線の放射がある。アルファ線は0.1ミリに満たない距離内で止められる。このたった1個の劣化ウラン
微粒子が体内に形成する放射線のホットスポットの年間被曝量は、およそ100シーベルトに達し、制限値の
10万倍もの値になる。この微粒子たった1個で発ガンの危険が十分にある。


・<第三章 核燃料サイクルと劣化ウラン>
天然ウランは、ウラン238が約99.3%、ウラン235が約0.7%。
原発で使うために、ウラン235の濃度を高める。(濃縮)
この放射性廃棄物が劣化ウラン。
100トンの天然ウランから、濃縮ウランは約15トン、残りの約85トンが劣化ウラン。
ちなみに、日本の原発から出る劣化ウランは英国核燃料会社(BNFL)に無償で渡される。
そして、日本からの劣化ウランもまた戦場で使われている。
(関西電力は、「分からない」と答えている。しかし、BNLFは、別に日本か
らの物を区別して保管してはいない)
ウラン238は、アルファ線(ヘリウムの原子核:質量4)を放出して、質量234のトリウムになる。
更にトリウム230、ラジウム226、ラドン222と放射性崩壊していき、最後に鉛206となって安定する。
(平衡状態=永続平衡)
この段階では、もともとのウラン238の放射線量の5倍以上。

 国連人権小委員会は劣化ウラン弾の使用中止を勧告。


・<第四章 身近にあらわれる劣化ウラン>
航空機の劣化ウラン部品
85年日本航空機事故・御巣鷹山
 ボーイング747ジャンボジェットには約240キロの劣化ウランが使用されていた。
(水平尾翼のカウンターウェイト等)
日本航空は95年、全機体から劣化ウランを取り除き、タングステンに交換。

コソボで使用された劣化ウランを分析したところ、天然には存在しないウラン236やプルトニウム239も
検出された。
プルトニウム239はウラン238の18万倍もの放射性毒性を持つ。
これら天然には存在しない放射性物質が存在していたのは、再処理された放射性廃棄物が混入されて
いたとしか考えられない。
 99年、米国エネルギー省は、「53年から64年までの間、回収ウランが濃縮ウランに」混ざったことを
認めている。
検出されたのは、全体の0.002〜0.004%とごくわずかである。
全体からすれば、ごくごくわずかな量ではあるが、人体内に入った場合、事情は一変する。
体内でウラン238の18万倍の放射線を発し続けるからだ。

バンカーバスター、巡航ミサイルには、「突入体」として「密度の高い金属」と公表されている。
正体は秘密とされている。
しかし、強化コンクリートで防護した設備を破壊・貫通するためには、考えられるのは、劣化ウランか、
タングステンしか考えられない。しかし、
 ・タングステンは融点が3000度を超える。
 ・加工性が悪い。
 ・価格が高い。
 ・主な生産地が中国。
  (軍事戦略兵器を中国に押さえられるのは軍事戦略上マズイ、、、、)

ラムズフェルド国務長官は、アフガン戦争中に劣化ウランなどの放射性物質を発見したことを認めた。
アフガニスタンには古代からカレーズ(地下隧道)と呼ばれる地下水道が縦横に張り巡らされている。
これが劣化ウランに汚染されれば、恐ろしいことになる。
ウランは水溶性が高い、つまり水によく溶ける。
いや、もう手遅れかもしれない、、、
ウラン238の半減期は45億年だ、、、、

 バンカーバスターは、2トンの内、50〜75%が劣化ウラン。

放射能兵器 劣化ウラン