人間には、約60兆個の細胞がある。
1個の細胞には、23対の染色体DNA(デオキシリボ核酸)がある。
A、D、T、Cの4種類の遺伝物質がある。

A:アデニン:    NH2
           ↑
         N-C-C-N-C-H
         ↓  ↓   ↓
       H-C-N-C-   N-H

D:グアニン:    
C:シトシン:
T:チミン :

 この4つの分子群は、13〜16個の原子から構成されている。
 また、いずれも窒素Nを含んでいるので、塩基性=アルカリ性を示す。

この4種類の分子群が30億個繋がっている。これがDNA。
二重鎖になっており、対になる相手は必ず決まっている。
AとT、GとCである。
これは、AとTでは水素結合が2本。GとCでは水素結合が3本だからである。
その3個で、一つのアミノ酸を指定する。3つで一組のことをコドンと呼ぶ。
(例えば、GAA、GAGでグルタミン酸)
それによって、体内で20種類のアミノ酸=タンパク質を作り出す指令となる。
つまり、DNAとは、体内で必要なアミノ酸=タンパク質を作り出す命令書である。

 しかし、アミノ酸を体内で、<いつ>、<どの場所に>、<どのくらいの量>
作り出すかも、命令しなければならない。
これらの特別な命令を出すのが、ホメオボックス遺伝子と呼ばれる。

 30億のDNAの内、このように、現在、その意味が分かっているのは、
3万から3万5千である。これが遺伝子。
残りの90%以上のDNAについては、意味がないか、まだその役割が分かって
いないもの。

 細胞分裂の際、コピーが行われるのだが、コピー・ミスが生じる。
それは、30億個につき、約3個だそうである。
これは、もうどうしようもない問題である。

 しかし、DNA修復酵素(p53)が、これを修復してくれる。
しかも、修復不可能と判断すると、細胞に細胞自殺(アポトーシス)を命じる。

 しかし、DNA修復酵素(p53)を作り出す遺伝子に異常が起こると、
DNAを修復することも、細胞自殺(アポトーシス)を起こさせることも
できなくなってしまう。
 これが、遺伝性疾患やガンの直接の原因である。

 ガン細胞とは、アポトーシスしなくなった細胞と規定できる。

 何故、ガン細胞が生み出されるか?
1.放射線によるDNAの破壊
2.食物摂取等による、化学物質によるDNA破壊(化学反応)
3.ウイルスによるもの

 1.には、A.自然放射線(宇宙から、地球の地殻にある放射性鉱物から)
         (食物から摂取したカリウム40、炭素14という放射性同位体元素)
       B.人工放射線(原水爆、原発、再処理工場、劣化ウラン弾、等)
 2.には、食物、タバコ、有害煤煙

 オンコ遺伝子(細胞を成長・増殖)=アクセル
 ガン抑制遺伝子(p53タンパク質とRbタンパク質)=ブレーキ

 言わば、車のアクセルとブレーキの両方が故障した場合、これがガン細胞が、
生み出される構造である。

   DNA